医学界新聞

 

第122回医学書院看護学セミナー開催


 医学書院主催による第122回医学書院看護学セミナーが,さる5月23日,岐阜市の岐阜ルネッサンスホテルにおいて,「べてるの家の『非』援助論-足し算より引き算」をテーマに行なわれた。

地域に密着する「べてるの家」

 べてるの家とは,北海道浦河町にある小規模授産施設・共同作業所・共同住宅からなる社会福祉法人「浦河べてるの家」と有限会社「福祉ショップべてる」のこと。
 浦河べてるの家は,浦河日赤病院の精神科を利用する当事者と地域有志が1984年に教会の古い会堂を借り受けて開設。その後に地元特産の水産資源である日高昆布の加工・販売も行なうようになり,現在では年商1億に達する地域密着型のサービス拠点として,全国各地から16歳から70歳代までの約150名が集まり活動をしている。

病気は楽しい

 本セミナーは,べてるの家の開設当初からの「主」で,浦河日赤病院を1983年4月9日に退院し,「四苦八苦まちがいなしと,川村先生が選んでくれた退院日です」と自己紹介する早坂潔さんや,引きこもりとつきあっている清水里香さんをアシスタントに,MSWで創設者でもある向谷地生良氏の司会により,愉快なトークが繰り広げられた。
 「治さない医者」の川村敏明氏の語りには早川さんらが横槍を入れ,「幻聴さん」を遊び相手にしている松本寛さん,2001年度のG&M(幻聴&妄想)大会のグランプリに輝いた本田幹夫さんらは,自分の病気とのつきあいを軽妙に,そして楽しげに話し,「精神分裂病は楽しい病気」と思わせる。また,トークの合間には,「安心してサボれる」を会得した下野勉さんが,水野賀代さんとギターを介してデュエット。
 「治すだけではない精神病」「これからは健常者への支援の時代」をおおらかに訴えたべてるの家のメンバーの語りに,満員となった会場の参加者は大いに沸いた。なお,べてるの家については,「べてるの家の『非』援助論」(医学書院刊)に詳しい。