医学界新聞

 

「精神科看護の質の向上と卒後教育」をテーマに

第27回日本精神科看護学会岐阜大会開催


 第27回日本精神科看護技術協会(藤丸成会長,会員約3万9000人)総会・日本精神科看護学会岐阜大会が,さる5月22-24日の3日間,岐阜市の長良川国際会議場を主会場に開催された。
 本大会では,「日進月歩の医療現場にあって,学校教育を基礎に,多様なニーズに対応できる看護者の育成こそが臨床の役割」とのことから,「精神科看護の質の向上と卒後教育」をテーマに掲げた。なお,大会では初日の開会式に引き続き,基調講演「精神科看護の質の向上と卒後教育」(市立函館病院高等看護学院・副学院長 田中隆志氏)や,文化講演「笑顔の日本語-ユーモアコミュニケーション」(落語家 三遊亭楽太郎氏)が行なわれた。また,大会2日目からは,102題の研究発表の他,「隔離・拘束」「リスクマネジメント」など6テーマでのサテライトミーティングや,ワークショップ「効果的な看護研究発表」,助成研究論文発表,シンポジウム「精神科看護の質の向上と卒後教育」が企画された。


隔離・拘束に関する指定看護師制度を推進-協会総会より

 大会初日に開催された同協会総会では,「精神科看護に携わる人たちすべての力を結集して,ともに精神科看護の質の向上と精神保健思想の普及に努め,すべての国民の健康と福祉の増進に向けて邁進することを誓う」との大会宣言が採択され,「看護者の資質向上のため継続教育を推進しよう」,「精神保健福祉の普及・啓発に努めよう」など,4つのスローガンを決定した。
 また,同協会では,精神保健法施行の日にちなみ7月1日を「こころの看護の日」と定め,市民向けの行事を行なってきたが,本年は名称を「こころの日」と改め,7月6日に講演会(石川県松任市),同7日には「こころの悩み電話相談」を開催することが確認された。
 さらに,リスクマネジメントの一環として,「看護者のための精神科医療事故防止マニュアル」作成が進められることや,これまでの「思春期・青年期精神科看護」など4領域での精神科認定看護師に加え,「隔離・拘束の看護職の関与の範囲拡大をめざす」ことを目的に,指定看護師(仮称)制度を新たな事業とすることが報告された。
 なお,同協会事務所はこれまでの東京都府中市から,都内〔中央区日本橋馬喰町2-3-2 セントピアビル TEL(03)3667-8661〕に移転した。

卒後教育の重要性を確認

 大会最終プログラムに位置づけられたシンポジウム「精神科看護の質の向上と卒後教育」では,早川幸男氏(岐阜病院),仲野栄氏(日本精神科看護技術協会)の両氏を座長に,近澤範子氏(兵庫県立看護大),金山千夜子氏(海星病院),相原友直氏(東京武蔵野病院),大屋浩美氏(静岡県立大)がシンポジストとして登壇。
 近澤氏は,日本看護協会の専門看護師制度における専門看護師の役割を解説し,その上で大学院修士課程で専門看護師の教育が行なわれている実態を報告。「精神科専門看護師は現在9名にすぎず,専門看護師教育課程認定大学院は6校と少ない。看護学部の教育や,編入学者の指導を行ないながら,専門看護師の教育指導は,教員にも学生にも負担となっている」と述べ,その課題などを提示した。
 また,金山氏は,職員の意識調査結果から,グループ討議などを主とする参加型の院内教育の取り組みを開始。管理職指導によらない研修で若手看護職者に意欲が出てきた実態などを報告した。
 さらに,相原氏は,東京武蔵野病院の院内認定看護師制度(精神科身体合併症エキスパートナースコース)第1期生として,2年に及ぶ体験からの学びを述べた。大屋氏は,「精神科に若い人がいつかないのなぜ」に始まる友人たちとの会話から,「精神看護若手の会(URL=http://www.diana.dti.ne.jp/~patti)」を設立。その経緯や20代看護職の実態調査の報告を行なった。