医学界新聞

 

「POSの原点に立ち返って」をテーマに

第24回日本POS医療学会大会開催



今大会のロゴマークは「桃太郎」を図案化。川崎医療福祉大の学生によるもの
 第24回日本POS医療学会大会が,さる3月23-24日の両日,上田智大会長(川崎医療福祉大)のもと,「POSの原点に立ち返って」をテーマに,倉敷市の川崎医療福祉大で開催された。

開業医のためのワークショップも開催

 本大会初日には,大会長講演「医療教育とPOS」を皮切りに,特別講演「POSと出会い,そして今も……」(前川崎市立病院長 林茂氏),教育講演「POSにおける看護記録の課題と今後の方向性」(聖路加看護大 岩井郁子氏)の他,21題の一般演題発表が行なわれた。
 また2日目のワークショップでは,POSの初心者に向けた(1)「POS入門」,(2)「初期計画」,(3)「経過記録」などに加え,近年の臨床薬剤師,管理栄養士の参加増に伴い,前者で(4)「臨床薬剤師とPOS」,(5)「臨床薬剤師のためのワークショップ-EBMとPOS」の2つのセッションが,また後者では(6)「管理栄養士の診療記載の実際」を企画。さらに,開業医のためのワークショップとして「日常診療における診療録の記載方法の実際」も開催,全10テーマが行なわれた。

改めて「患者のための学会」を確認

 なお,ワークショップに並行し,「診療各職種における診療録記載の現状と問題点」をテーマに開催されたパネルディスカッション(司会=日本医大 岩崎榮氏,写真)では,診療録管理,薬剤,栄養,開業医,看護の各部門から5人が登壇し,フロアを交えた討論が行なわれた。司会の岩崎氏は,会場からの「POS医療学会の基本方針は」との問いに対し,「患者のための医療をめざすという根底が本学会にはある。今後も環境整備などを視野に入れ,理想ではなく現実をとらえて,患者のための医療の実現をめざす学会である」と回答。また氏は,学会の動向に関して,「これまで看護職中心だった本学会に,2年前に臨床薬剤部門が入り,今回は開業医の参加が多いのが特徴。医師の参加により,チーム医療はより前進することになる。また,POSが基準化されれば,患者に焦点を合わせたチーム医療の確立,推進にもつながる。医師の意識改革が重要」と述べた。
 さらに「ワークショップのまとめ」では,各セッションのファシリテーターが登壇しそれぞれの報告を行なった。その後,行なわれた日野原重明氏(聖路加国際病院理事長)による会頭講演「患者を含めてのチーム医療のためのPOS-外来診療の増える時代に向けて」では,「ナースも医学知識が必要とされる時代」と述べるともに,「患者参加型の新しいPOS」を提唱した。
 なお,次回は明年3月21-22日の両日,宮本尚彦大会長(川崎市立病院)のもと,横浜市のパシフィコ横浜で開催される。