医学界新聞

 

日赤看護大国際交流委員会特別講演会

-スイス赤十字社とスイスの看護教育


 日本赤十字看護大学国際交流委員会(委員長=同看護大 福島道子氏)の主催による特別講演会「スイス赤十字社とスイスの看護教育-その歴史と未来」(司会=同大 武井麻子氏)が,さる1月31日に,東京・広尾の同大学講堂で開催された。スイス赤十字社は,スイス連邦における看護基礎教育カリキュラムの制定から看護婦免許の授与まで,看護教育を一手に担うとともに看護行政をも司る。その役割と位置づけは,各国赤十字社・赤新月社と比べ独特のもの。本会では,スイス赤十字社のなりたちと看護教育について,同社の第一人者ヒルデガルド・ホーレンシュタイン氏による講演が行なわれた。
 氏は,同社の看護教育の特徴として,看護学生は臨床実習の前に,実際の患者がいない演習病棟で,メントーと呼ばれる臨床指導者から指導を受け,実習のロールプレイなどができる仕組みを概説。この取組みが,「不慣れな看護学生を受け入れる臨床現場の混乱を抑止するとともに,看護学生の理論と実践を結ぶ仲介として機能し,臨床現場・看護学生双方の満足度を向上させている」と報告した。一方,スイスでも,専門職としての看護職養成や看護学の確立をめざした変革の時期を迎えており,看護職等の医療従事専門職の育成に関わる法律が,近い将来に改められることを示唆した。