医学界新聞

 

第5回精神科看護管理研究会開催


 第5回精神科看護管理研究会が,さる2月1-3日の3日間,尾道市の千光寺山荘で開催された。
 同研究会〔末安民生会長(慶大看護医療学部助教授),会員500名〕は,全国の精神病院の看護管理者を中心として1998年に設立。医療経済,法律改正,看護管理の方法,精神看護に関する最新ニュースなどを講演形式で学ぶ他,参加者間の交流も重視している。というのは,看護管理者は,1人で悩みや孤独感を抱いていることが多く,人的交流を図ることで,自分の病院を客観視したり,また自らの看護・看護管理を振り返ることができるなど,管理者の相互教育の場ともなるからである。

語りの中からの学び

 全国から約200名が参集した今研究会では,初日に「感性を研く技法」をテーマとして,宮本眞巳氏(東医歯大大学院教授)が,現場で看護者が感じるさまざまな「違和感」をどう考え,どのように処理すればよいかを講演。また,田上美千佳氏(都精神研精神看護研究室長)は,「家族に語りかけることの重要性と方法」と題し,病院に対する家族の本音,感情について語り,初期のかかわりの重要性について述べた。
 2日目には,加納佳代子氏(千葉県・八千代病院看護部長)が「看護婦だからできること-看護婦だけにできること」をテーマに,山内真知子氏(福島市・村上病院総婦長)は「自分の傷ついたところに根ざせる看護」と題し講演。両氏は,自らの看護の源となる体験について語った。

小さい研究会ならではのよさが

 同日午後から行なわれたワークショップのテーマは,(1)「感情と看護を話し合う」,(2)「地域との連携を作る」,(3)「家族とどう話をするか」,(4)「異和感の対峙化」,(5)「かかわりの見える記録」。これらの中で,特に多くの参加者を集めたのは(1)であったが,同じ病院の人ではないからこそ正直に相談できるという側面があったためか,現場で自らが抱えるさまざまな感情の問題が話し合われた。ある参加者は,「他科から精神科に異動し,身体の見方を指導したところ現場で浮いてしまい居づらくなった。もう辞めようと悩んでいたが,この場でのアドバイスで退職が1年延びた」と語った。
 今研究会では,壇上の講師との距離も近く,思ったことを積極的に発言できるなど,小規模であるがゆえに醸し出されるよさがみられた。また,話し足りなければ夜を徹して話し合いもできるという,「夜鍋ができる」研究会の魅力に,これからも会員は増えていくものと思われる。

「ナース・オブ・ザ・イヤー」賞

 また同研究会では,看護における積極的な取り組みや,他のモデルとなる取り組みをしている看護管理者や施設に対して,その業績を称えることを目的に,(1)患者さんとのかかわり,(2)他機関との連携,(3)看護研究,(4)看護者同士のネットワークなどにスポットをあて,「This is Nurse!(これぞ看護職)賞」,「トップ・ナース(看護職の鏡)賞」など,8部門での「ナース・オブ・ザ・イヤー」という賞を設けている。候補者は,会員の自薦・他薦によって選ばれる。
 今回受賞したのは8名。そのうち,「研究奨励賞」は森元靖子氏(広島市・草津病院,写真)が受賞。授賞理由は,「病院が全面新築するという多忙な時期にもかかわらず,看護研究を多数発表した功績と研究が行なわれやすい支援体制を組んだこと」。また,「新時代賞」は山下夕美子氏(久留米市・野添病院)に贈られた。病院内で起こる問題を,患者や医師の分け隔てなく話し合い,解決していこうとする治療共同体の取り組みが評価されての表彰であった。
 なお,次回はきたる6月21-23日に,札幌市のホテルミリオーネで開催の予定。
◆連絡先:旭山病院看護部内「精神科看護管理研究会札幌大会事務局(染谷紀子)」
 FAX(011)631-5512