医学界新聞

 

「グローバルながん看護の推進」をテーマに

第16回日本がん看護学会が開催される


 第16回日本がん看護学会が,さる2月9-10日の両日,松岡敏子会長(国立病院四国がんセンター)のもと,「21世紀 グローバルながん看護の推進」をメインテーマに,松山市の愛媛県県民文化会館で開催された。
 今学会では,基調講演「がん罹患者に対する外来がん看護の問題と将来展望」(千葉大看護学部長 佐藤禮子氏),特別講演「がん医療における倫理」(国立病院四国がんセンター 江口研二氏)の他,パネルディスカッション「認定看護師の波及効果」,シンポジウム「がん患者を多角的に支える」,ワークショップ「ホスピスケア認定看護師の活動-その人が生活する場での意思決定への支援」が企画された。
 また総会の場で,日本がん看護学会(理事長=大阪府立看護大学長 小島操子氏)では,第17回学術集会〔会長=小島理事長,連絡先:FAX(0729)50-2368〕および第1回国際学術集会〔会長=佐藤禮子氏,連絡先:FAX(043)226-2423〕を,明年2月8-10日の日程で合同開催すると発表された。なお,会場は大阪市のグランキューブ大阪(大阪国際会議場)。詳細は後日,本紙上に掲載する。


患者・家族を支えるために

 シンポジウム(司会=愛媛大 阪本恵子氏,香川医大 大森美津子氏,写真)には,在宅医療を積極的に行なっている立場から堂園晴彦氏(堂園メディカルハウス),代替療法を実施する立場からは手島恵氏(千葉大看護実践研究指導センター)が,また患者・家族を精神的にサポートする立場から丸口ミサエ氏(国立がんセンター東病院),患者体験の立場から前田勝氏(日本オストミー協会熊本県支部)が,病診連携システム推進の立場からは谷水正人氏(国立病院四国がんセンター)が登壇。
 その中で堂園氏は,入院・通院・在宅におけるホスピスケアを,同一メンバーで一貫して行なう「コンビネーションケアシステム」を紹介。ケアをする場が違っても,スタッフは同じという安心感が特徴と述べるとともに,医療施設と家庭を密につなげる「干潟ハウス構想」を提起した。
 また,手島氏は,「迷信的であり科学的でないとされている民間療法を,患者はなぜに求めるのかを考える必要がある」として,代替療法の概念,実践領域の分類などから,全人的モデルが主眼となっている代替療法の有用性を解説。谷水氏は,情報スーパーハイウェイを利用した「保健医療福祉ネットワーク」構想の開発を報告した。

ホスピスケア認定看護師の活動

 ワークショップ(司会=日本看護協会看護教育・研究センター 阿部まゆみ氏)では,「ホスピスケア認定看護師」5人が登壇し,事例を通して各々の活動を報告した。
 中俣直子氏(博愛会相良病院)は,患者の意思決定を支える要因として,(1)患者が必要としている情報の提供,(2)患者との信頼関係,(3)チームでの情報共有と意思決定,などをあげた。また,喜多川雅美氏(北里大学病院)は,「患者の意思決定を支える情報提供のためには,医療チーム全体の調整が必要」と指摘。木村亜希氏(NTT東日本関東病院)も,「チームが共通認識を持ってかかわることが必要」と報告した。
 倉持雅代氏(浅草医師会立訪問看護ステーション)は,本人が選択した在宅という場では,「本人・家族の意思をよく聴き,本人の意思を中心に調整すること,医師との十分な情報交換・信頼関係が,意思決定への支援となる」と述べた。また松本俊子氏(土浦協同病院茨城県地域がんセンター)は,「患者を全人的に理解し,Cancer Journey(がんとともに歩む行程)において,揺れ動く患者・家族の気持を受けとめ。共感を示すことが役割」とまとめた。