医学界新聞

 

第1回看護教員「実力養成」講座

「生涯人間発達論から見た人間理解」をテーマに開かれる


 

 第1回看護教員「実力養成」講座(主催=医学書院)が,服部祥子氏(大阪人間科学大学教授・精神科医)を講師に迎え,さる12月15日,東京・千代田区のイイノホールにおいて開催された。
 この講座は,変化の著しい看護界にあって,常にUp-to-Dateな教育内容を学生に提供できるよう,また教育をめぐる悩みをともに考え,新しい発想で教師活動ができるように,看護教員を対象に新たに企画されたものである。今回のテーマは,自著『生涯人間発達論』(医学書院刊)をテキストにして,「生涯人間発達論から見た人間理解-看護教員・学生・患者の豊かな人生を構築するために」。
 服部氏はこの講義の到達目標を,「(1)看護教員として看護学生を理解し,アイデンティティ獲得を支援すること,(2)患者を人間的に理解し,豊かなケアをする上での理論的骨格を得ること,(3)看護教員自身の人生を展望し,生きる喜びと意味を確認すること」に置いた。
 さらに具体的な講義内容を,「(1)看護学生の状況と課題:学生が豊かな人間理解力を身につけ,生き生きとした看護者として巣立つために,今なにができるのか,(2)看護者-患者関係の中に生涯人間発達論の視点がいかに有効に生かされるか,(3)看護教員自身の人生に照準を当てて,人間の生涯そのもののおもしろさと味わいを知ること」の3点に絞って講座を進めた。

「生涯人間発達論」による10の発達段階

 服部氏は「人は各々の“人生周期”において,その時間にふさわしい“発達危機”に遭遇する。それを1つひとつ乗り越えることが“発達”であり,それによって“人格的活力”を順次獲得する」と解説し,「生涯人間発達論における発達図式」を次の10段階に分類(カッコ内は“人格的活力”)。
 (1)乳児期(0-1歳:希望),(2)幼児前期(1-3歳:意志),(3)幼児後期(3-6歳:目的),(4)学童期(6-12歳:有能感),(5)思春期(12-18歳:夢),(6)青年期(18-22歳:忠誠心),(7)成人前期(22-30歳:愛),(8)成人中期(30-50歳:世話),(9)成熟期(50-65歳:自信),(10)成人後期(65歳以降:知恵)<詳細は前掲書参照>。

「ミニ・コンサート」を挟んで活発な「質疑応答」が交わされる

 今回の講座は,「わが生涯人間発達論」「思春期・青年期の理解-看護学生に向きあうなかで」「さまざまなライフサイクルの理解-患者・看護者関係のなかで」「看護教員自身の自己理解-自己の人生への愛と理解を深めるなかで」の4部からなり,ピアニストの石本裕子氏による,軽妙なトークを交えた「ミニ・コンサート」を挟んで,後半は会場から寄せられた「質問カード」への応答を中心に進行。
 参加した教員自身の,また自らが教えている学生の「生涯人間発達論」をめぐって,活発な質疑応答が展開された。