医学界新聞

 

「患者取り違え事故」判決に日看協が見解を表明


 横浜市大病院の「患者取り違え事故」に対し,横浜地裁はさる9月20日に,「執刀医,麻酔医,研修医,患者を手術室に引き渡した病棟看護婦は罰金。患者の引渡しを受けた手術室看護婦は,禁固1年,執行猶予3年」との判決を言い渡した。
 この判決に対し,日本看護協会(南裕子会長,会員51万人,以下日看協)は,控訴期限(10月4日)を目前としたさる10月3日に,「看護婦が医師らよりも重い過失を問われたことは納得がいかない」として,「現在の医療・看護界の認識とは大きな乖離がある」との見解を表明した。
 日看協は判決について,「医療の基本を怠り,被害者に多大な衝撃を与えた責任を厳粛に受けとめる。今後は,看護職能団体として国民の信頼回復に努めていく」としながら,(1)患者の同一性確認の義務,(2)病院の管理体制,(3)看護婦の業務に伴う責任と権限の視点から,事故に至る状況と判決内容を分析。その上で,「本判決は,手術を受ける患者の同一性確認義務は,手術室入室時にかかわる看護婦ほうが,手術を行なう医師よりも重いと受け取れる内容である。この判決が示すように,看護婦が医師よりも重大な義務と責任を負うべきならば,その責任に見合う看護婦の権限と裁量について,現行の資格制度や法律の改正を視野に入れた抜本的な検討がなされるべきである」との見解を示した。なお,被告側はこの判決を不服として控訴した。
 またこの情報は,日看協のホームページ(http://www.nurse.or.jp/)でも閲覧が可能である。