医学界新聞

 

第9回「脳の世紀」シンポジウム開催される


 第9回「脳の世紀」シンポジウムが,さる9月7日,東京・千代田区の有楽町朝日ホールにおいて開催された。同シンポジウムは,伊藤正男同実行委員会代表(理化研)のもと1994年に第1回が開催されて以来,「脳を知る・創る・守る」の3つの側面から,脳研究の最新の成果が報告されている。挨拶に立った伊藤氏は,「各分野において,かなりの成果が報告されるようになった。3分野の有機的協調のもと,統合して社会に還元する時期が来た」として,「脳を育む」という新テーマの可能性を提案した。
 特別講演では,生命誌の視点から中村桂子氏(JT生命誌研究館)が,「ゲノムの時代」と絡めながら脳研究の今後の展望を示唆した他,3テーマ別に,澤口俊之氏(北大)が「脳と心の進化」,藤澤肇氏(名大)は「秩序だった神経ネットワークを生みだす分子メカニズム」,藤田雅博氏(ソニーデジタルクリーチャーズラボラトリー)が「エンターテインメントロボットにおける知能とは?」,辻省次氏(新潟大)は「神経変性疾患の分子病態機序と治療開発への展望」をテーマに講演した。講演後の質疑応答では,多くの質問が寄せられ,一般参加者の脳研究への関心と期待の強さがうかがわれた。