第2454号 2001年9月24日


第6回NDC看護診断公開セミナー開催

餅田敬司(NDCメンバー・近江八幡市立看護専門学校)


 第6回NDC看護診断公開セミナーが,さる9月1日に,東京・永田町の全共連ビルで開催された。本セミナーを主催した「NDC」とは,看護診断研究会(Nursing Diagnosis Conference)の略であり,黒田裕子代表(日本赤十字看護大教授)をはじめ30名の看護婦・士から組織されている。
 NDCは定例会の他に,年1回夏に公開セミナーを開催しているが,6回目となる今回のテーマは「NANDA & NOC & NICリンケージとその活用」。患者の健康問題に対する反応を記述する用語としてのNANDA看護診断だけではなく,NOC(Nursing Outcomes Classification:看護成果分類)およびNIC(Nursing Interventions Classification:看護介入分類)が紹介された。また,この3者をどのような方法で結びつけていくのかが,理論的な解説に加えて,事例活用にも焦点が当てられ取りあげられた。なお,本セミナーには,全国各地より約300名の看護婦・士が参加した。

看護実践の概念化に貢献するリンケージ

 本セミナーの午前中には,中木高夫氏(名大教授)による教育講演が行なわれた。中木氏は,講演の前半で,1973年に開かれた「第1回看護診断分類会議」以降の主要な検討課題,NANDA分類法 I から II への開発に至るまでの歴史的経緯やその背景,および新しい分類法 II の構造と内容,とりわけ多軸構造である7つの軸について,氏自身のエピソードも交えながらわかりやすく解説した。
 また,今後の課題として,(1)診断概念の中でいまだ十分に整理されていないものがある,(2)多軸構造による仮想診断で,あり得ない診断が今後作られていく危険性があることを指摘。「NANDAに採択されている診断指標は,個々の診断概念を明らかにするものであるが,すべてが臨床状況に必要とされる厳密さを与えるものではない」という,NANDA定義集の文章を引用し,診断するにあたっては,患者現象に対して単純なラベル貼りを行なうのではなく,看護診断名および診断指標の背景にある中範囲理論を十分に理解しておく必要があることを強調した。
 一方後半では,NOCとNIC,および両者の分類法の構造と内容について具体的に紹介するとともに,NANDA・NOC・NICリンケージの開発経緯についてもわかりやすい解説を加えた。
 氏によれば,NANDA看護診断は,ナースが介入する前の患者の状態,あるいは現在の患者の状態を表す用語である。すなわち,看護診断が考えられた後で看護アウトカム(成果)が検討されていくこととなる。成果は看護介入の結果として望まれる患者の状態,あるいは最終の患者の状態である。したがって,期待される成果は介入を選択する前に選択されなければならないこと,そして看護介入は期待される成果と診断指標を考慮して選択されるべきである。講演のまとめにあたり中木氏は,「NANDAは,NOCおよびNICとリンケージされるという試みによって,看護実践を概念化し,体系化することに貢献してきている」と述べた。

現場に活用できる感触を実感

 午後からは,黒田代表とNDC有志による,リンケージの事例活用をテーマとしたセッション。参加者には,事前に今回活用する事例および記録用紙が配布され,事例のアセスメント,全体像,看護診断を検討してくることが宿題となっており,準備性の高い状況下で行なわれた。
 例年の公開セミナーでは,グループ・ワークによる事例討議が行なわれてきたが,今年は参加者が300名と多く,グループ分けもしにくいために,宿題とした事例を基に,NDCメンバーがサポートに加わる講義形式で進行された。なお,その場ではアセスメントおよび全体像,それに基づいた看護診断を「診断指標」「関連因子」「危険因子」を含めて3つ提示しながら解説。ちなみに,本事例に対するNANDA看護診断名は,「慢性疼痛」「死の不安」「感染リスク状態」となった。
 セミナーでは,これらの1つひとつについて,事例の全体像を踏まえつつ,NOC・NICとのリンケージを具体的に検討。NOCおよびNICについては,各分類法の構造をみながら選択していくという方法が参加者には新鮮なものとして受けとめられた。なお,3者のリンケージに関する著書〔『看護診断・成果・介入――NANDA-NOC-NIC』(仮),医学書院,2002年発行予定〕が活用できるが,リンケージの著書に頼らず,分類法から選択するという方法について,今回は詳しく取りあげられた。
 参加者にとって,NOC・NICは新しい学習であったが,看護診断を中心としながら,現場でも大いに活用できるという感触がつかめたようであった。会場からは熱心な質問が次々と寄せられ,助言者として加わった川島みどり氏(臨床看護学研究所長)と中木氏からも貴重なコメントがいただけた。NDCにとっての課題も,今回のセミナーで明確化した。来年度に向けて継続して検討していきたいと考えている。