医学界新聞

 

整形外科認定看護婦による「ケアの質の保証」

第1回日本整形外科看護研究会開催


 さる6月30日-7月1日の両日,第1回日本整形外科看護研究会が,武田宜子会長(横市大看護短大)のもと,横浜市のはまぎんホールヴィアマーレにて開催された。
 同研究会は,昨(2000)年4月に行なわれた第73回日本整形外科学会(神戸大 水野耕作会長,神戸国際会議場)開催中に,「整形外科看護を医療・福祉・保健の分野との関係において広く追究し,あらゆる場における看護サービスの質的向上をめざし,専門領域における学術の充実を図る」ことを目的に掲げ,469名の会員を集め発足した。
 なお,初日に行なわれた総会の場で,会員相互による研究発表の場となる学術集会や,並行して国際看護フォーラムの開催,研究会サイトの立ち上げなどが今後の活動として確認された。また「研究支援金」として100万円の予算を計上(1件10万円,2年間)。これは,会員の研究に対する研究指導料にあてるとしており,新たな試行と言える。


「整形外科看護国際フォーラム」を開催

 研究会では,総会に引き続き基調講演「認定看護婦による整形外科看護の質の保証」(米・シカゴ大脊椎センターCNS・全米整形外科看護婦協会・整形外科認定看護婦認定委員会委員長 シンシア・ゴンザレス氏)と,一般演題4題の発表が行なわれた。
 また,2日目は「脊椎手術と看護」に焦点を合わせた「整形外科看護国際フォーラム」として開催。(1)脊椎の病変と手術療法(千葉大 高橋和久氏),(2)脊椎手術後の後療法の短縮化(千葉労災病院 山縣正庸氏),(3)脊椎手術後のクリティカルパス(シンシア・ゴンザレス氏),(4)同―クリティカルパスがもたらした看護ケアの改善(済生会熊本病院 道端由美子氏),(5)脊椎手術後のアウトカムについて(米・ノーサンプトン総合病院 ニコラス・ホーキンス氏)の全5題の講演が企画された。

整形外科認定看護婦の役割とメリット

 基調講演では,整形外科看護の臨床専門看護婦(CNS)であり,全米整形外科看護婦協会の委員を務めるゴンザレス氏が,全米における認定看護婦の内訳を紹介。「全米の,全領域の認定看護婦は41万人に及ぶが,整形外科認定看護婦の数は3180名」と述べた。加えて,その合格率は70%であること,平均年齢は47.2歳であり,73%が既婚者,2.7%がアジア系であること,さらに修士号を有する率は21%であることなどを報告した。
 また,認定看護婦は整形外科看護領域のエキスパートとして認知されており,卓越した実践を公表することが責務とし,「認定」がいかに整形外科領域の患者ケアに効果をあげているかを強調。そのメリットとして,「給料が増え,昇進の機会も増える」と述べるなど,日本における認定看護師(整形外科領域の専門看護師・認定看護師の教育は行なわれていない)は,資格を取得しても特に上記のようなメリットはなく,日米間の待遇の違いが示された。
 なお,会員が860名を超えた同研究会は,今後「学会組織」をめざすべく,学術的な基盤固めをはじめ,新たに設けられた地区委員制度(北海道・東北,関東,など5地区からなる)を通した全国的な活動拠点の拡大,ならびに整形外科認定看護婦制度の実現に向けた調査を開始する予定である。
◆連絡先:横浜市立大学看護短期大学部内 日本整形外科看護研究会事務局(富重)
 TEL&FAX(045)787-2562