医学界新聞

 

第12回理学療法ジャーナル賞決定


 第12回「理学療法ジャーナル賞」授賞式が,さる2月24日,東京・文京区の学士会館分館で開かれた。本年は下記の3論文が準入賞,奨励賞にそれぞれ選出された。
〔準入賞〕加藤浩氏,他(九大)「短時間フーリエ変換(STFT)を用いた歩行時中殿筋の量・質的評価の試み-健常者と変形性股関節症患者の時間周波数特性」
〔奨励賞〕(1)小林和彦氏,他(筑波短大)「老人保健施設での車椅子操作指導に対する行動分析的アプローチの適用」(「症例報告」),(2)大谷真由実氏,他(阪市大)「胸部食道癌根治術後早期の咳嗽能力に与える胸部理学療法の影響-術式による差の検討」(「報告」)

臨床の中での発見

 「理学療法ジャーナル賞」は,その年の1年間に「理学療法ジャーナル」誌(医学書院刊)に掲載された論文の中から,同誌の編集委員が選考して顕彰するもの。同誌編集会議では,8人の編集委員が4人の2グループに分かれて論文審査を行ない,その結果をコメントとして論文著者に戻して再投稿を求めて,2-3回の審査をくり返すなど,完成までに1年近くを要する論文もまれではない。
 今回,準入賞を果たした加藤浩氏らの論文は,動的な筋活動を定量的にとらえる一指標として時間因子を考慮に入れた筋収縮周波解析に関係した内容。奨励賞の2論文は,臨床現場からの報告であった。
 授賞式では,編集委員会を代表して編集委員の内山靖氏(群馬大)が「査読の過程ですばらしい改稿原稿をいただき,即座に採用となった。原著論文がこのような短期間で採用されることは本誌では比較的めずらしいこと」と,選考経過と受賞理由を述べた。また,「これほど高い評価を得ながら準入賞にとどまった理由は,臨床的な指標との比較を含めた完成度の高い研究論文を期待したからである」と,続報の投稿に期待を寄せた。
 講評を受けて,受賞者を代表して加藤氏は,受賞の喜びを語るとともに,「これからも理学療法士として,臨床でしか見つけられないテーマについてアイデアとパワーで,臨床に役立つ研究をめざしたい」と,今後の豊富を述べた。