医学界新聞

 

第4回臨床看護学セミナー開催

魂学(ソウロロギー)と痴呆老人の接し方


 健和会臨床看護学研究所(川島みどり所長)が主催する,第4回臨床看護学セミナーが,昨(2000)年12月2日に,「痴呆の魂学(ソウロロギー)への接近―瞬時の輝きをとらえる感性」をテーマに,東京・広尾の日赤看護大で開催された。同セミナーでは,山中康裕氏(京大大学院教授)によるテーマと同題の講演,および山中氏,川島氏,五島シズ氏(全国高齢者ケア協会理事)による鼎談「高齢者の持てる力をケアに活かす」が企画された。なお,ソウロロギーとは,英語のsoul(魂)とドイツ語のlogie(学問)を組み合わせた言葉である(本紙2000年10月30日付2410号掲載の山中氏による「魂学=soulologieとは何か」参照)。

お年寄りは人生の先輩

 精神科医である山中氏は,「なぜ精神科医になったのか」を皮切りに,痴呆老人とかかわるようになった経緯などをユーモアたっぷりに講演。また,「寝たきりで声を発しない老人との触れ合いが成立したのは歌を通して」と,実際に自慢の喉を披露するなど,参加者を魅了させる2時間であった。
 鼎談では,高齢者へのケアについて,五島氏が「お年寄りは人生の先輩であることを念頭において接すること」,山中氏は「患者さんとの距離は1人ひとり違う。相手の尊厳を守り,遠すぎず,近づきすぎないようにすること」と述べた。また五島氏は,高齢者にストレスを与えない接し方の実践を語るとともに,フロアからの「せん妄がある患者にどう接したらよいか」の質問には,「現実のことを否定するのではなく,やさしく説明すること」と述べた。
 なお本鼎談からは,高齢者はこれまでに培った経験知や能力を自身の持てる力として,ケアを行なう側がいかに活用させるかが問われていることが示唆された。