医学界新聞

 

第2回日本救急看護学会開催

救急看護における医療事故防止対策を検討


 昨(2000)年11月24-25日の両日,第2回日本救急看護学会が,浜崎廣子会長(鹿児島市立病院)のもと,鹿児島市の鹿児島県医師会館で開催された。
 今学会では,会長講演「救急看護の専門性と質の向上にむけて」をはじめ,特別講演「特殊救急と看護-放射能汚染」(国立病院東京災害医療センター 辺見弘氏),教育講演 I「21世紀における救急医療の展望と看護の役割」(杏林大 島崎修次氏),同 II「臨床での危機理論の活用と看護研究」(山口大 山勢博彰氏)の他,パネルディスカッション「救急ナースの教育,育成」,ワークショップ「救急看護現場における調整機能」,およびシンポジウム「救急看護における医療事故防止対策」(写真)を企画。なお,オープンセミナー「救急外来搬入時のフィジカルアセスメント」(講師=日本看護協会看護研修学校 菅原美樹氏)にも多くの参加者がつめかけた。

医療事故の回避は可能

 シンポジウム(司会=北里大病院 花井恵子氏)には,川口なぎさ氏(大阪市立総合医療センタ-),坂田久美子氏(愛知医大高度救命救急センター),細川京子氏(川崎医大高度救命救急センター),横田順一朗氏(大阪府立泉州救命救急センター)の4人が登壇。
 川口氏は,看護事故の認識調査を実施した結果を報告。1999年4月の調査では,92%のスタッフが事故・ニアミスを起こしたと回答したのに対して,2000年4月の調査では100%となった。氏は,その原因として1回目の調査時にはスタッフの認識の甘さがあったと指摘し,その後の定期的なカンファレンスの励行で意識が変わり,翌年の調査結果にむすびついたと報告した。
 また坂田氏は,「人はエラーを起こす,事故は起こるもの」との前提に立った事故防止策,発生後の対応策を講じるシステム作りが重要との観点から発言。細川氏は,月別事故報告件数では5月が最も多く,次いで7月,最低は3月であったと報告した。
 横田氏は,「医療事故を組織で取り組むことで回避は可能」として,(1)薬剤師による薬剤指導で,医療事故は66%減少,(2)麻酔科の標準化マニュアルにより,医療事故は1/7に減少,(3)携帯コンピュータとバーコード化などハード面の整備により薬剤事故は70%減少する,などを報告するとともに,リスクマネジャーの機能,および職員間の協働の重要性を指摘した。
 なお次回は,本年10月19-20日の両日,中村恵子会長(青森県立保健大)のもと,青森市の青森市文化会館で開催される。