医学界新聞

 

「世界の看護の将来」を展望する

第5回日本看護サミット 2000 in みえ より


新ミレニアムの幕開けを記念

 さる9月13-14日の両日,第5回日本看護サミット2000 in みえ(実行委員長=三重県看護協会長 楠美智子氏)が,三重県津市の三重県総合文化センターで開催された(本紙2410号に既報)。
 「グローバルネットワーク時代の看護 新ミレニアムの幕開け」をテーマに据えた今サミットでは,各種のフォーラムを企画。本号ではこれらの中からICN(国際看護婦協会)との共同企画として,またクロージングセレモニーとして開催された講演「世界の看護の動向と将来展望」〔ICN事務局長 ジュディス A.オルトン(Judith A. Oulton)氏,写真〕の講演主旨を伝える。

21世紀の看護に必要なもの

 「世界の看護の動向と将来展望」をテーマに講演を行なったオルトン氏は,まず最初に「The future is ours to shape, if we have shared vision, values, and voice(展望と価値,意見を分かちあい,未来を築こう)」と述べ,この3つが21世紀の看護構築には必要と説いた。また,「価値観を共有することで看護のアプローチが可能となる」とし,21世紀の看護に必要なものとして,看護職の規律下にある(1)達成,(2)パートナーシップ,(3)柔軟性,(4)包括性,(5)展望性のあるリーダーシップ,を指摘。
 さらに,「病院の中で専門家たる看護職が,看護の立場からグローバル化を考える場合,医療改革に結びつくが,『医療改革』の名のもとにリストラもありえるため,看護にとっての新たな視点が必要」と警告。その上で,看護職は,(1)政策策定,擁護,実践のリーダーである,(2)教育があり,明確な考えを持ち,信頼ができ,有能なケアを行なう者である,(3)倫理的な根拠に基づいたケアを行なう,(4)ヘルスケアに通じる重要な鍵となる職である,(5)強力なチームプレーヤーである,(6)力があり,団結しており,認められている,(7)「健康な世界,健康な人々」という未来を築く,との展望を示した。
 一方で,世界には15億人もの人が貧困にあえぎ,その7割は女性であること,高齢化する看護職者(オーストラリアの平均年齢は40歳。欧米の中堅看護職は40-49歳が主流),疾病構造の変化や技術革新への追従,など直面している問題を指摘。氏はその上で,「今こそ一致団結して声をあげ,医療施策に参画する時」と述べ,さらに,情報を得つつ他国の仲間を援助し,自己の業績を分かちあうことの必要性も説き,21世紀に向けて看護職は,グローバルな視点を持ち,「新たな看護の道を見出していかねばならない」と結んだ。