医学界新聞

 

音楽劇「葉っぱのフレディ」が上演される

――日野原重明氏企画・原案による“いのち”の物語


 さる10月29日に,日野原重明氏(聖路加国際病院名誉院長)の企画・原案による音楽劇「葉っぱのフレディ」が,東京・世田谷区の昭和女子大学人見記念講堂において上演された(主催:童話屋)。定員2000人の会場が医療関係者や親子づれなどで満員となる盛況の中,葉っぱの衣装に身を包んだ40人の子どもたちが,舞台せましと歌い踊った。

日野原氏とフレディの出会い

 原作「葉っぱのフレディ-いのちの旅」(翻訳=みらいなな,童話屋,1998)は,アメリカの哲学者レオ・バスカーリア博士(1924-1998)が「死別の悲しみに直面した子どもたち,死について的確な説明ができない大人たち,死と無縁のように青春を謳歌している若者たちのために」描いた同氏生涯1冊の絵本で,日本でも80万部を超えるベストセラーとなった。春,大きな楓の木に芽吹いた葉っぱのフレディが,春夏秋冬を通じて,先輩格の葉っぱたちから学びながら懸命に生き,最期には散っていく……そしてまた春が巡ってきて……というストーリーで,やさしく「いのちの循環」を教える内容である。
 この物語に深く共感した日野原氏が,舞台化を提案,自ら脚本を手がけて同劇を実現した。音楽を用いたのは,「全日本音楽療法連盟」の会長も務める同氏が音楽の癒しの効果を企図してのこと。

いのちは永遠に生きている

 開演前,大きな緑の葉を額につけて登壇した日野原氏は,「葉っぱのフレディ」との出会いから舞台化にいたるまでの経緯を語るとともに,最愛のご子息をがんで亡くした森繁久彌氏(俳優)のエピソードなどを紹介。
 また,「この舞台は,子どもと両親,祖父母の3世代が一緒に観てほしい。3世代にわたって生死を話し合うことで,家族の絆が深まるし,人間に必ず訪れる死への準備をすることができる」と述べ,幼少期からの“いのちの教育”の必要性を説き,「われわれはどこからきて,今どうあり,これからどこへいくのか?」というメッセージを同劇のメインテーマとして掲げた。
 劇中には,原作のストーリーに加え,小児科医を退いて哲学者となった老人や,若い恋人同士,女優を夢見る少女などを効果的に登場させ,「生とは何か」「死とは何か」というメッセージを音楽にのせて豊かに表現した。ラストシーンで,死を恐れたフレディに先輩格のダニエルは言う,「変化しないものは何もないんだよ。~死ぬというのも変わることの1つなんだ。でも“いのち”は永遠に生きているんだよ」と。