医学界新聞

 

第8回「脳の世紀」シンポジウム開催される


 さる9月29日に,「脳の世紀」シンポジウムが,東京・千代田区の有楽町朝日ホールにおいて開催された。同シンポジウムは,伊藤正男脳の世紀実行委員会代表(理化学研)を発起人に,きたる21世紀の脳研究の発展に向けて,(1)脳科学の研究の推進,(2)社会一般への脳科学の成果の周知などを目的に,1994年に第1回が開催され,今回も医療関係者を中心に400名近い参加者を集めた。
 伊藤氏は,「脳研究の研究費や研究施設など,脳研究のさらなる進歩のための準備が調った今,一般の方々にもその成果と重要性を理解し,支援していただきたい」と挨拶するとともに,「高齢社会を迎え,『脳を創る』という分野には特に期待が寄せられる。人の一生を通じて脳を研究し,人の成長に本当の意味で貢献したい」と抱負を述べた。
 特別講演では米本昌平氏(三菱化学生命科学研)が,「脳科学研究と研究の倫理」と題して口演し,脳を「内なる自然」と捉えながら,ポストゲノム時代に求められる哲学的態度などを示唆。一方,午後の部では,「脳を知る」「脳を守る」「脳を創る」の3つのテーマに沿って,脳の修復,知的ロボット,精神的ストレスなど,現代脳科学の最先端のトピックについて各専門家が概説した。