医学界新聞

 

介護保険時代の看護職の役割

第31回日本看護学会-地域看護(神奈川)開催


 日本看護協会・神奈川県看護協会が主催する,第31回日本看護学会-地域看護(神奈川)が,小林こと会長(神奈川県看護協会長)のもと,さる9月7-8日の両日,横浜市のパシフィコ横浜で,「21世紀を迎え,地域看護はどう変わるか」をテーマに開催された。

介護保険時代に求められるもの

 基調講演「新しい時代の地域看護活動-介護保険と訪問看護」を行なった川越博美氏(聖路加看護大)は「ケアマネジメントは看護の機能」とし,保健・医療・福祉を理解した専門職である看護職が本来ケアマネジャーになるべきであることを強調。また,WHO憲章前文における健康の定義改正が現在継続審議されており,身体的,精神的,社会的に加え,新たにSpiritualityが加わることを示唆。訪問看護の役割については,(1)生涯にわたる質の高いケアの提供,(2)在宅療養者と家族の価値観を優先し自己決定を支援する,(3)在宅療養者と家族の自立支援,(4)在宅療養者の権利と責任を含む法的倫理的問題の配慮,などをあげた。
 一方,シンポジウム「介護保険時代の生活支援と看護職の役割-利用者本位のケアマネジメントと地域ケアサービス」(コーディネーター=北里大 中田まゆみ氏)には,辻本好子氏(ささえあい医療人権センターCOML)が住民代表の立場で,山田雅子氏(セコメディック病院)は病院看護の立場から,また訪問看護ステーションの立場からは小林邦代氏(横浜市中区医療センター訪問看護ステーション),地域保健活動の立場から中村淑氏(南足柄市保健医療福祉センター)が,さらに大橋謙策氏(日本社会事業大)は福祉の立場から登壇。
 総合討論の場では,フロアの参加者から「利用者が介護保険制度を理解していない。どのように利用者に伝えればよいのか」などの質問や意見が出された。また大橋氏は,「保健・医療・福祉の連携をとり直すきっかけとなったのは『介護保険』であり,各市町村地区で各職種が一堂に会して論議を深めれば,連携は可能。そのために自治体と民間が一緒になったシステムづくりをしていかなければならないだろう」と発言。
 閉会にあたり中田氏は,「住民から苦情が出るのはよい傾向。地域の人の声に耳を傾け,それを誰が,どう問題化し,ともに考えながら解決をしていくためには,地域の中にあって行政的視野にとらわれない保健婦がキーとなる」とまとめた。