医学界新聞

 

「第13回医学教育指導者フォーラム」開催


 (財)医学教育振興財団(理事長=高久史麿自治医科大学長)主催による「第13回医学教育指導者フォーラム」が,さる7月11-12日,東京・青山のホテルフロラシオン青山において開催された。
 同フォーラムは,国公私立大学長,医学部長,附属病院長および教務委員長などを対象とするもので,今回は,「新しい千年紀における医学教育-反省と将来への展望」を主題に掲げた。
 くしくも,本紙「短期集中連載(全7回):ボストンに見る米国の医学,看護学,ならびに医療事情の激しい動き」(日野原重明氏)のコーディネーターであり,記事中にもたびたび紹介されているM.T.ラブキン氏が講師の1人として,また今回デルバンコ教授のエピソードとして紹介されている武田裕子氏がパネリストの1人として招かれた。さらに,前回の連載中に触れられたハーバード大のT.S.イヌイ(Inui)氏が折よく文部省特別招聘教授として来日されており,参加者の1員に加わった(ラブキン氏について,関連記事を掲載)。

Medical Education in the New Millennium

 フォーラムの第1日目は,高久理事長の挨拶に続いて,次の3題の基調講演が行なわれ,それを受けた総合討論「新しい千年紀における医学教育-反省と将来への展望」(司会=久道茂東北大学医学部長,神津忠彦東京女子医科大学教授)が開かれた。
 (1)「Medical Education in Japan:Paradigms and Expectations」:矢崎義雄氏(国立国際医療センター総長)
 (2)「Medical Education in the New Millennium」:M. T. ラブキン氏(Distinguished Institite Scholar,The Carl J.Shapiro Institute for Education and Research at Harvard Medical School and Beth Israel Deaconess Medical Center)
 (3)「Medical Education in the UK:the Quiet Revolution」:F. ハリス氏(Dean of Faculty of Medicine,the University of Leicester,Dean Designate of the Leicester-Warwick Medical School)
 ラブキン氏は,今回の主題そのものをテーマとした基調講演で,医学教育を「卒前教育(UME;Undergraduate Medical Education」,「卒後教育(GME;Graduate Medical Education」,および「生涯教育(CME;Continuing Medical Education)」に分け,特に必要とされる医学知識量の増加,またIT(Information Technology)の驚異的な成長がもたらした前2者の米国の医学教育の現況を分析。そして,「能力に基づくカリキュラム(Competency-based curricula)」,problem-based learningに基づく「自学自習(Self-directed learning)」,「New Pathway」,「模擬患者(standardized patient)」などを紹介するとともに,日野原氏が前回の連載で報告している,「Shapiro教育研究センターにおけるVirtual Patient(バーチャル患者)」をビデオで示した。
 また第2日目には,4名((1)黒川清東海大学医学部長:「臨床医学教育とその将来の展望」,(2)本庶佑京都大学医学部長:「自己開発する臨床医の養成をめざして」,(3)堀江孝至日本大学医学部長:「臨床医学教育とその将来の展望」,(4)武田裕子琉球大学講師:「基本的臨床能力修得のための教育」)をパネリストに迎えたパネルディスカッション「臨床医学教育と将来の展望」(司会=小川秀興順天堂大学学長,紀伊國献三国際医療福祉大学医療福祉学部長)が企画された。