医学界新聞

 

平成13年度より改訂される国家試験の具体的中身

医師国家試験出題割合


 平成13年度に実施される第95回医師国家試験のブループリント(医師国家試験設計表)がこのほど明らかにされた。ブループリントは,試験委員が出題に際して準拠する基準(ガイドライン)の各項目ごとの出題割合を示したものであり,これにより,重視すべき領域(患者の人権・医の倫理,医療面接,行動科学等)や高頻度で重要な疾患が相当数出題されることになる。
 すでに,平成13年からの改善,改訂では「出題数を500題へ」,「必修問題を100題へ」,「医療面接におけるコミュニケーション能力,臨床能力を問う問題の増加」などの改訂が打ち出されていたが,今回,ブループリントが示されたことにより,その具体的な内容がより明らかとなった。


【必修の基本的事項】
1 患者の人権,医の倫理約4%
2 社会と医療約3%
3 診療情報と諸証明書約2%
4 人体の構造と機能約2%
5 医療面接約6%
6 主要症候約15%
7 一般的な身体診察約13%
8 検査の基本約4%
9 臨床判断の基本約4%
10 初期救急約9%
11 主要疾患・症候群約10%
12 治療の基礎と基本手技約8%
13 チーム医療約3%
14 生活習慣とリスク約7%
15 心理・社会的側面についての配慮約7%
16 一般教養的事項約3%


【医学総論】
I 保健医療論約10% 
1 健康・疾病・障害の概念と社会環境(約20%)
2 保健・医療・福祉・介護の仕組み(約15%)
3 地域保健,地域医療(約15%)
4 保健・医療・福祉・介護の資源(約15%)
5 社会保障制度と医療経済(約10%)
6 国際保健(約10%)
7 保健・医療・福祉・介護関係法規(約15%)
II 予防と健康管理・増進約15% 
1 予防医学と健康保持増進(約13%)
2 人口統計と保健統計(約7%)
3 疫学とその応用(約10%)
4 母子保健(約10%)
5 成人保健と高齢者保健(約10%)
6 精神保健福祉(約7%)
7 感染症対策(約13%)
8 国民栄養と食品保健,学校保健(約7%)
9 産業保健(約10%)
10 環境保健(約13%)
III 人体の正常構造と機能約10% 
1 個体の構造(約10%)
2 皮膚,頭頸部,感覚器,発声器(約10%)
3 呼吸器,胸郭,胸壁(約10%)
4 心臓,脈管(約10%)
5 消化器,腹壁,腹膜(約10%)
6 血液,造血器(約10%)
7 腎,泌尿器,生殖器(約10%)
8 心理,精神,神経,運動器(約10%)
9 内分泌,代謝,栄養(約10%)
10 免疫(約10%)
IV 生殖,発生,成長・発達,加齢約10% 
1 妊娠(約15%)
2 分娩(約15%)
3 産褥(約10%)
4 胎児(約10%)
5 新生児(約15%)
6 小児期(約15%)
7 思春期,青年期(約10%)
8 加齢,老化(約10%)
V 病因,病態生理約13% 
1 疾病と影響因子(約8%)
2 先天性異常(約8%)
3 損傷,炎症(約8%)
4 感染(約8%)
5 アレルギー,免疫異常(約8%)
6 腫瘍(約8%)
7 循環障害,臓器不全(約8%)
8 内分泌・代謝・栄養の異常(約8%)
9 中毒,放射線障害(約8%)
10 医原病(約8%)
11 (約20%)
VI 症候約13% 
1 全身症候(約16%)
2 皮膚,外表(約8%)
3 頭頸部,感覚器(約12%)
4 呼吸器,心臓,血管(約12%)
5 消化器(約8%)
6 血液,造血器,免疫(約12%)
7 腎,泌尿器,生殖器(約8%)
8 心理,精神機能(約8%)
9 神経,運動器(約8%)
10 内分泌,代謝,栄養(約8%)
VII 診察約8% 
1 妊・産・褥婦と胎児の診察(約13%)
2 胎児・新生児の診察(約13%)
3 小児の診察(約20%)
4 高齢者の診察と評価(約27%)
5 2次・3次救急患者の診察(約27%)
VIII 検査約10% 
1 検体検査(約25%)
2 生体機能検査(約15%)
3 皮膚・感覚器・発声機能検査(約10%)
4 心理・精神機能検査(約10%)
5 妊娠・分娩・胎児・新生児の検査(約10%)
6 画像検査,内視鏡検査(約30%)
IX 治療約13% 
1 食事・栄養療法(約8%)
2 薬物療法(約12%)
3 輸液,輸血,血液浄化(約8%)
4 手術,周術期の管理,麻酔(約8%)
5 臓器・組織移植,人工臓器(約8%)
6 放射線治療(約8%)
7 インターベンショナルラジオロジー〈interventional radiology〉(約8%)
8 内視鏡治療(約8%)
9 リハビリテーション(約12%)
10 2次・3次救急患者の治療(約12%)
11 その他の治療方法(約12%)


【医学各論】
I 先天異常,周産期の異常,成長・発達の異常約5% 
1 妊娠の異常(約20%)
2 分娩・産褥の異常(約20%)
3 胎児・新生児の異常(約30%)
4 性分化・染色体異常,先天異常および成長・発達の障害(約30%)
II 精神・心身医学的疾患約5% 
1 器質性精神障害および精神作用物質関連障害(約20%)
2 気分障害および精神分裂病,分裂型障害,妄想障害(約20%)
3 神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害(約20%)
4 生理的障害および身体的要因に関連した障害(約20%)
5 幼児・小児・青年期の精神・心身医学的疾患および成人の人格並びに行動障害(約20%)
III 皮膚・頭頸部疾患約10% 
1 炎症性皮膚疾患(約10%)
2 腫瘍・母斑性皮膚疾患(約10%)
3 その他の皮膚疾患(約10%)
4 視機能異常・視神経疾患(約10%)
5 外眼部・前眼部疾患(約10%)
6 後眼部疾患(約10%)
7 外耳・中耳疾患(約10%)
8 内耳・神経疾患(約10%)
9 咽頭・口腔・唾液腺疾患(約10%)
10 損傷,奇形(約10%)
IV 呼吸器・胸壁・縦隔疾患約8% 
1 感染性呼吸器・胸壁・縦隔疾患(約13%)
2 気管・気管支・肺の形態異常(約13%)
3 びまん性肺疾患(約20%)
4 アレルギー性肺疾患(約13%)
5 腫瘍性呼吸器・胸壁・縦隔疾患(約20%)
6 その他の呼吸器・胸壁・縦隔疾患(約20%)
V 心臓・脈管疾患約10% 
1 不整脈(約10%)
2 心不全(約10%)
3 先天性心疾患(約10%)
4 弁膜症(約15%)
5 虚血性心疾患(約20%)
6 心筋・心膜疾患,心臓腫瘍,外傷(約10%)
7 血圧異常(約10%)
8 脈管疾患(約15%)
VI 消化器・腹壁・腹膜疾患約13% 
1 食道疾患(約8%)
2 胃・十二指腸疾患(約20%)
3 小腸・結腸疾患(約12%)
4 直腸・肛門疾患(約8%)
5 肝疾患(約12%)
6 胆道疾患(約8%)
7 膵疾患(約8%)
8 横隔膜・腹膜・腹壁疾患(約8%)
9 急性腹症(約8%)
10 損傷,異物(約8%)
VII 血液・造血器疾患約5% 
1 赤血球系疾患(約30%)
2 白血球系疾患とその他の骨髄性疾患(約30%)
3 リンパ増殖性疾患と類縁疾患(約20%)
4 出血性疾患と血栓傾向(約20%)
VIII 腎・泌尿器・生殖器疾患約12% 
1 糸球体病変(約9%)
2 血管・尿細管・間質病変(約9%)
3 腎機能の障害による異常(約13%)
4 腎・尿路結石と尿路閉塞性疾患(約9%)
5 腎・尿路・生殖器の炎症(約9%)
6 腎・尿路・男性生殖器の腫瘍(約9%)
7 女性生殖器の類腫瘍・腫瘍(約13%)
8 月経異常,不妊,不育(約13%)
9 更年期・閉経後障害(約9%)
10 その他の尿路・生殖器異常(約9%)
IX 神経・運動器疾患約9% 
1 脳血管障害,脳腫瘍(約18%)
2 神経変性疾患,脱髄性中枢性神経疾患,末梢神経疾患,筋疾患(約18%)
3 けいれん性疾患,てんかん,機能性疾患,自律性疾患(約12%)
4 脊椎・脊髄疾患,骨・関節系統疾患(約12%)
5 上肢および下肢の運動器疾患,非感染性骨・関節・四肢軟部疾患(約18%)
6 骨・軟骨腫瘍と類似疾患,損傷(約12%)
7 脳・脊髄の奇形,神経・皮膚症候群,感染性疾患,小児に特徴的な神経疾患(約12%)
X 内分泌・代謝・栄養疾患約8% 
1 間脳・下垂体疾患(約20%)
2 甲状腺疾患と副甲状腺〈上皮小体〉疾患(約13%)
3 副腎疾患(約13%)
4 その他の内分泌疾患(約13%)
5 糖質・脂質・蛋白・アミノ酸代謝異常(約20%)
6 その他の代謝異常(約20%)
XI アレルギー性疾患,膠原病,免疫病約5% 
1 アレルギー性疾患(約30%)
2 膠原病と類縁疾患(約50%)
3 原発性・続発性免疫不全症(約20%)
XII 感染症約8% 
1 ウィルス感染症(約20%)
2 クラミジア・マイコプラズマ・リケッチア感染症(約20%)
3 細菌感染症,嫌気性菌感染症(約27%)
4 抗酸菌〈マイコバクテリア〉感染症(約20%)
5 その他の感染症・害生虫症(約13%)
XIII 生活環境因子・職業性因子による疾患約5% 
1 食中毒および病害動物による疾患(約20%)
2 アルコールによる障害および薬物依存・中毒(約30%)
3 産業中毒およびその他の職業性疾患(約30%)
4 物理的原因による疾患およびその他の生活環境因子による障害(約20%)