医学界新聞

 

第94回医師国家試験 合格体験記

基礎医学を大切に

中村明澄(東京女子医大卒)


 医師国家試験(国試)を控えて,いろいろ不安に感じていると思います。でも,誰もが同じです。みんな不安なのだということを忘れず,自分を信じ,頑張っていきましょう!!
 第94回国試を受験して,特に感じたことは,(1)考えさせる問題が増えてきている,(2)正常と異常をしっかり見極める能力が要求されている,の2点です。
 D問題以外で,経過観察を答えさせる問題がいくつかあったのには,驚きました。全体的に,今までよりも,実際の臨床の現場で役に立つ問題が増えてきたように感じました。何を使って勉強すべきかということについては,みなさんがよくご存知だと思います。『イヤーノート』をベースに,『クエスチョンバンク』や『アプローチ』を解くことが基本です。「1回解いてgood,2回でbetter,3回でbest」という言葉があるそうですが,じっくり時間をかけて1回で完璧にするタイプの人もいるでしょうし,繰り返すことで確実にしていくタイプの人もいるでしょうから,自分のタイプをよく把握して勉強法は選択してください。私は,そういった勉強をしていく上で,心にとめておいてほしいことを書きます。意識しているだけでも大分違ってくると思います。
(1)正常と異常をしっかり見極める
 疾患について答えさせる問題が主流だった国試で,経過観察という選択肢を選択するのは,なかなか勇気がいります。でも,これは,実際の臨床の場では最も大切なことで,必要以上の検査・治療をしないことにつながります。
(2)最低限必要な知識を正しく,効率よく,頭に叩き込む
 考える問題が増えたといっても,知識がなくては,考えることもできません。国試で必要な知識は,ある程度限られています。
 また,あやふやな知識ほど,怖いものはありません。中途半端に知っていると逆に間違えることが本当に多いので,正しい知識を確実に叩き込んでいきましょう。
(3)余裕があるうちに臨床問題をじっくり考えて解く訓練をする
 考えさせる問題に対応して,日頃から,考える訓練をしておきましょう。試験当日,ものすごいプレッシャーの中,きちんと考えることは,けっこう大変です。
(4)D問題対策以外もしっかり!!
 8割を切ったら不合格になるというD問題ですが,今回,自己採点で8割を切った人もたくさん合格しています。逆にD問題がよくても不合格になった人もいます。あまり,D問題だけにこだわらず,まんべんなく勉強しましょう。
そして,低学年のみなさんへ
 基礎医学を大切にしましょう!! 基礎と名前がついているとおり,すべての基礎になります。ここを固めておくと,あとで臨床が始まったときに非常に楽です。特に生理学は,得意科目にしてしまいましょう。
 時間があると思わず,できることをどんどんやっていきましょう。また,直前はいろいろな情報が飛びかいますが,自分のやってきたことを信じて最後まで頑張りましょう。