医学界新聞

 

健康都市国際学術会議開催される


 さる3月12-16日の5日間にわたり,健康都市国際学術会議が,浅野牧茂会長(国立公衆衛生院)のもと,東京・文京区の東京医科歯科大学,文京シビックホール,他において開催された。
 本会議は,健康都市国際学術会議実行委員会の主催(共催:健康都市東京推進会議,WHO健康都市研究協力センター,日本健康都市学会)で行なわれ,国内外の諸都市,研究機関,および国際機関から多数の参加者を招き,事例に基づいた意見交換をするとともに,健康都市プロジェクトの学術的基盤や技術・技法を明確にすることを目的に企画。後援には,WHOや厚生省,文部省などの関係省庁の他,東京都医師会,日本衛生学会,日本公衆衛生学会なども名を連ね,開会式では,WHO西太平洋地域事務局長の尾身茂氏(前自治医大教授)が挨拶に立った。

Healthy City Tokyoに向けて

 尾身氏は,都市の問題として,貧富の差や大気・水質の汚染,犯罪などをあげ,「犯罪の原因には環境の悪化による肉体的ストレスがある」と語るなど,都市における衛生面の重要性を主張。さらにWHOの姿勢も紹介した上で,この会議を通して“Healthy City Tokyo”に向けた動きが活発になることに期待を寄せた。
 2日目のキーノートレクチャーでは,高野健人氏(東医歯大)が,本会議の焦点として,(1)都市の発展による便益,(2)健康の決定要因と方向性,(3)情報・電気通信技術,(4)効果測定と評価,(5)政策パッケージの提案方法,(6)経験の交換を明示し,これらに関してグローバルな視野に立った検討をするよう提案。これに沿って,5日間のプログラムが進められた。
 セッションは,(1)都市開発と健康都市,(2)健康都市における健康決定要因の解析,(3)健康都市における情報通信技術・テレコミュニケーション技術の利用,(4)健康都市プログラムの客観的評価,が企画され,その他,「ヨーロッパおよびアジア地域における健康都市プログラム」(座長=英・サウスイースト公衆衛生学院 June Crown氏,他)や,「世界の健康都市先進事例の報告と交流」(座長=浅野会長),「政策パッケージとしての健康都市」(座長=浅野会長)などが報告された。