医学界新聞

 

「医学と医療の調和」をメインテーマに

第27回日本集中治療医学会看護部会開催


 昨(1999)年,日本医学会の分科会に加盟した日本集中治療医学会の第27回総会が,さる3月2-4日の3日間,島田康弘会長(名大)のもと,「集中治療を問い直す-医学と医療の調和」をメインテーマに,名古屋市の名古屋国際会議場で開催された。
 同総会では,医師・看護・臨床工学技士部門合同企画による特別講演「教養の新しい形」(共立女子大学長 阿部謹也氏)をはじめ,医師・看護部門合同のシンポジウム「集中治療と心の問題-患者中心の集中治療をめざして」(座長=日本医大病院 原千鶴氏,名市大 勝屋弘忠氏)を企画。また医師部門では海外からの招請講演7題,教育講演5題の他,「近未来の集中治療医学展望-先端医学の集中治療への応用」など5題のシンポジウムが行なわれた(医師部門については4月3日付,2382号で詳報)。

充実した看護部門のプログラム

 一方看護部門では,特別講演「The optimal staffing in ICU:Can we reduce the costs and maintain the quality of care?」(豪・セントジョージ病院 Theresa C. Jacques氏)をはじめ,「Evidence-based nursing in a critical care setting」(カナダ・マクマスター大 Alba DiCenso氏),「集中治療におけるインテンシブなケア」(米・マサチューセッツ総合病院 堀越勝氏),「Suffering and distress in the ICU:Implications for behavioral medicine and nursing practice」(米・Harvard Vanguard Medical Associates Katharine M. Larsson氏)の3題の招請講演や,「ICUにおける看護実践能力-臨床判断に焦点を当てて」(東女医大 佐藤紀子氏)など2題の教育講演が行なわれた。その他,ワークショップは「重症患児の看護の問題点とその援助」など3テーマが口演発表で,また優秀演題口頭発表が4セッションで企画された他,127題の一般演題発表はすべてポスター発表にて行なわれた。
 さらに,シンポジウムは全5題。本年2月に答申が出された「第4次医療法改正案」に関して,今回の医療審議会で継続検討とされた「看護必要度」に関する問題や,「ICUでの看護の役割」の検討などがなされた(1)「看護の質と機能評価」(座長=阪市大病院倉橋恵美子氏,帝京大病院 多治見公高氏/シンポジスト=厚生省 岩澤和子氏,亀田総合病院 竹股喜代子氏,神戸大病院鶴田早苗氏,青森県立保健大 中村恵子氏)。
 招請講演を受けて行なわれた(2)「Evidence-based nursing in critical care-よりよい集中治療看護を求めて」(座長=名大 安藤詳子氏,名大 福岡敏雄氏/シンポジスト=京大保健管理センター 川村孝氏,大阪日赤病院 岩戸千秋氏,聖路加国際病院 田村富美子氏,名大病院 寺田八重子氏)では,川村氏が疫学の視点から「臨床に役立つ情報は臨床から生まれる。看護職は疫学の手法を学ぶべき。臨床研究は疫学者を巻き込んで一緒に進めていこう」と提言した。
 また(3)「クリティカル・パスの功罪を見極める」(座長=愛知医大病院 高木三保子氏,東大 前川和彦氏/シンポジスト=大分県立看護科学大 山内豊明氏,亀田総合病院 今中雄一氏,東京都済生会病院 山嵜絆氏,済生会宇都宮病院 高屋美津子氏,佐賀医大病院 立石和子氏)では,シンポジウムの締めにあたり座長の前川氏が「クリティカル・パスはコメディカルとの協同の上で成り立つもの。できれば合同部会で取りあげられるべきテーマであった」と発言。学会として将来の検討課題となる余韻を残した。
 そして,次世代まで引き継ぐ前に,ガイドライン作成やシステム作りをすべく検討された(4)「薬剤耐性菌による院内感染症への新たな対策」(座長=名大病院 三浦昌子氏,名大 武澤純氏/シンポジスト=国立感染研 荒川宣親氏,多治見公高氏,東邦大 長谷川友紀氏,県西部浜松医療センター 浦野美恵子氏,厚生省 佐々木健氏,山形大 仲川義人氏,名大 太田美智雄氏,武澤純氏)。さらに,昨年新たに誕生した重症集中ケア認定看護師の役割と展望が語られた(5)「重症集中ケア認定看護師の現状と展望」(座長=慈恵医大 深谷智恵子氏,山口大前川剛志氏/シンポジスト=大垣市民病院山本洋子氏,日本看護協会 岡谷恵子氏,同 平田明美氏,NTT東日本関東病院 木下佳子氏,北大病院 高岡勇子氏)も行なわれた。
 なお,21世紀最初の学会となる第28回日本集中治療医学会は,高野照夫会長(日本医大),原千鶴看護部会長(日本医大病院)のもと,明年3月8-10日の3日間,東京の東京ドームホテルおよび文京シビックセンターホールを会場に開催される。またメインテーマは,「21世紀の集中治療-Science,Medical, Art」と発表された。