医学界新聞

 

米国が医師国家試験にOSCE導入を検討

2002年にも実施か?


 米国医師国家試験委員会が臨床技能試験(The Standardized Patient Test of clinical skills;日本で「OSCE」と呼ばれているものに相当)の導入に向けて準備を進めていることがわかった。2002年あるいは2003年にも第1回試験が実施される見込みだ。
 これは米国で執筆活動を行なっている田中まゆみ氏(本紙に「MGHのクラークシップ」を連載中)の取材に対し,同委員会の臨床技能試験プロジェクト主任,ダニエル・クラス氏が明らかにしたもので,同氏によれば,「国家試験への導入は固まっており,現在,実施上の問題点を解決すべく準備作業を進めている」とのこと。
 クラス氏は,「合否基準については,『全国一律である』という一点以外は未定。USMLE(米国医師国家試験)のステップ2(臨床医学)と3(臨床マネジメント)の間に,どのように位置づけるかも決まっていない」としながら,「2002年もしくは2003年に実施される」との見通しを示した。なお,北米ではカナダが1992年よりOSCEを医師国家試験に導入している。
 米国では,1998年7月以降,米国以外の医科大学卒業生(FMG)に,「CSA(Clinical Skills Assessment)」と呼ばれる臨床技能試験が課されるようになり,それに合格することが米国内で臨床研修を行なうための条件となっていた。また,各医科大学においても臨床実習(クリニカル・クラークシップ)の評価法としてOSCE等の臨床技能試験が広く実施されており,国家試験への導入も「時間の問題」とみられていた。
 米国の医学教育事情に詳しく,自らもCSAに合格した経験を持つ田中氏は「FMGを対象としたCSA実施は,以前から,国家試験への導入を睨んだ『実験』という見方があった。実施まであと2-3年というわずかな準備期間を考えると,内容的にはCSAとほぼ変わらないものになるのではないか」と話している。
 わが国でも2005年以降の将来,医師国家試験にOSCEを導入することが検討されており,米国の動向がどのような影響を与えるかが注目される。

(「週刊医学界新聞」編集室)