医学界新聞

 

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


GDCによる脳血管内手術の全貌を示す

GDCを用いた脳動脈瘤血管内手術
兵頭明夫,根本 繁 編集

《書 評》高倉公朋(東女医大学長)

脳血管障害の治療

 脳血管障害の血管内カテーテル操作による治療は1970年代にモスクワのBurdenko脳神経外科研究所でSerbinenko教授らにより熱心に開発,推進されていた。今から約20年前,私が同研究所を訪れた時には暖かく迎えて,治療操作を見学させてくださった。1987年の日本脳神経外科学会総会に教授をお招きし,脳動静脈奇形などのバルーンカテーテルによる治療について特別講演をしていただいたのが,つい昨日のように想い出される。
 1980年代に北京脳神経外科研究所を訪問した時には,バルーンカテーテルを作っている所を見学したが,手作りではあるが,その離脱型バルーンはよくできていた。このような先駆的な研究は世界の各地で行なわれていたが,脳動脈瘤,脳動静脈奇形に対する血管内手術法が治療技術として定着したのは,1990年代初頭にGuglielmi detachable coil(GDC)が開発されてからである。わが国でGDCが厚生省により治療材料として認可が下りたのは,欧米でGDCが普及してから6年を経た1997年3月であった。以来,GDCは,わが国でも脳動脈瘤を主とした脳血管障害の治療に一般的に用いられるようになった。
 GDCは従来のバルーンカテーテル等と比較して操作の容易さと治療効果の確実性が優れており,安全性も高く,脳動脈瘤のクリッピング術とともに普及しつつあるが,その治療にあたっては高度の技術を要するため,血管内治療を専門とする医師に治療をゆだねるか,その指導下に行なうべき特殊治療法である。
 このたび『GDCを用いた脳動脈瘤血管内手術』が刊行されたことは,この治療成績向上のために誠に喜ばしいことである。編集者の兵頭明夫,根本繁両先生は,共に脳血管内手術をライフワークとする,日本を代表する高度の技術者である。また各項目を分担執筆された方々は,いずれも脳血管内手術の多数の治療実績を持っている方々である。

GDCを用いた血管内手術の全貌

 本書はGDCを用いた血管内手術の準備,患者の適応,患者へのインフォームドコンセントの取り方,一般的手技,特殊技術,合併症から,治療成績まで,その全貌が書かれている。
 脳動脈瘤は形状も発生部位も多岐にわたり,それぞれの動脈瘤について特殊な技術の考慮が必要である。本書では著者がそれぞれの経験をもとに治療技術のこつを詳しく述べられている。
 GDCはきわめて優れた治療材料であるが,この治療法による動脈瘤の完全閉塞率は50%程度と推定されており,今後さらに改良されるべき問題が残っている。動脈瘤内血栓生成を促進するためにGDC表面に凝固促進物質を付着加工するなどの技術改良が常に進んでいることは,この方面の治療の将来に大きな期待が寄せられている理由でもある。本書がこの方面の治療を行なう方々に,指針となり,治療成績が一層向上することは疑いのないところであり,脳神経外科,神経放射線科医の方々が,今日の脳血管内手術法を理解されるためにも優れた書である。
B5・頁192 定価(本体9,000円+税) 医学書院


まことに時宜を得た発刊

公衆衛生の思想 歴史からの教訓 多田羅浩三 著

《書 評》糸氏英吉(日本医師会副会長)

 第2次大戦の終焉とともに,わが国はかつて経験したことのない社会経済的な混乱に突入した。にもかかわらず,その後のわずか半世紀において,世界の先進諸国にひけをとらない富と繁栄を得ることに成功したのである。
 しかしながら,1990年初頭からのバブル経済の崩壊と予測を超えた人口の高齢化によって,社会,経済などあらゆる制度面での大改革の必要性に迫られていることも事実である。確かに物質面での豊かさに充足された現代社会ではあるが,一方,人々の真の心の豊かさも達成されてきたのであろうか。昨今のマスコミの報道を見る限り,教育,社会,政治,経済などあらゆる面で,人々の心に「ゆとり」とか「安心感」,さらには将来への希望とか光といったものが見出せないのは一体どうしたことであろうか。心の貧しさを克服し,未来にしっかりした目標を設定し,生存することの充実感がもたらされる社会には程遠い昨今である。長生きしていることの喜びが実感される,そんな社会の創造が昨今の何よりの緊急課題でなければならない。
 1997年より始まった医療改革に当たって,厚生省は今まで行なってきたと同様,官僚主導による審議会の結論を国の政策として推進してきた。また政権与党も官僚の主導による政策決定を何のためらいもなく受入れ,国会で法案として通して来たのである。その第一弾として1997年9月,医療財政の逼迫を日本医師会(以下,日医)の反対にもかかわらず,大幅な患者負担増で処理したのである。来年の2000年には介護保険の創設に始まり,診療報酬,薬価制度,高齢者医療制度等の抜本改革など重要課題が目白押しに迫ってきている。現在日医は1997年7月に医療構造改革構想を公表し,これを厚生省案に対峙させ,政府与党にその選択を委ねているところである。

医学歴史の原点

 この重大な時期に,多田羅教授が医学歴史の原点とも言うべき『公衆衛生の思想』なる書を医学書院から公表された。その歴史的断面からの鋭い考察に心から感服するとともに,誠に時宜を得た快挙と言わざるを得ない。先生は単に大学の一室に閉じこもる学者ではなく,若い時代から身を挺して地域の民間医療機関に没入し,地域医療の何たるかをその自らの心と肌で感じ取られたという輝かしい実績がある。まさにその経験が,今日公衆衛生学分野における先生の独自の領域の発展の原動力となっていると確信している。
 日医の地域医療改革の検討に当たっては,早くから先生に専門委員としてご参画いただき,日医の公衆衛生委員会をリードしていただいただけでなく,官僚主導といわれる厚生省老人保健福祉審議会にも入っていただき,医学医療の専門家の立場から日医とともに国民本位の政策提言に独自の持論を主張されてきた。今後ともますます国民本位の立場からその論旨の展開をはかられるよう,心から期待しているところである。
 最近の医療保険福祉審議会の議論では,残念ながら老若共生ではなく,むしろ老若対立の様相を呈してきている。国民すべてによって支え合う連帯の理念に基づく現代の国民皆保険制度は何としても堅持されるべきである。一方で自己責任社会への転換を財政的見地から強調する考え方も次第に大きくなりつつあり,誠に憂うべき事態となりつつある。

より統合された保健事業のシステム化を目指して

 医療保険制度も国民皆保険の達成により一応の終着を見た。今後は今の制度をいかに安定的に運営していくべきかを,政府が主体となって,特に増大する老人医療への対応を中心に保障的対応をどのように進めていくかを考えねばならない。今後の医療的課題は,治療より予防対策への大きな政策転換でなければならない。日医も健康投資政策を重視し,保健事業のより統合されたシステム化を模索している。これなくして来たる高齢社会の行き詰まりを打破する道はないとすら考えている。この意味においても多田羅先生の本書の発刊は,誠にわれわれを勇気づけるのに十分なものであり,先生の今後のご活躍を心から期待して止まないものである。
A5・頁302 定価(本体4,000円+税) 医学書院


産科外来診療に必要な知識を凝縮した好著

New Epoch 産科外来診療 岡井崇 編集

《書 評》松田義雄(鹿児島市立病院・産婦人科科長)

外来でハイリスク妊娠に的確に対応

 平成8年度からスタートした厚生省の総合周産期母子医療センター設置事業により,全国各地に周産期センターが整備されつつある。とはいっても,現在の日本における周産期の医療資源は限られていると言わざるを得ず,その意味からもハイリスク妊娠がいかに効率よく3次医療施設で管理されるかが,周産期医療に携わるすべての関係者に求められている最重要課題であるといえよう。
 そういった時代の要求に応えて出された,本書『New Epoch 産科外来診療(編者 岡井崇)」は,まさに一般臨床の場で多くのローリスク妊娠の中から,ハイリスク妊娠を的確にピックアップし,高次医療機関にコンサルトする際の格好の手引き書である。
 「明日の診療スキルをバージョンアップ! あなたの外来診療バージョンアップに好個の1冊」と書かれてある帯文に誘われ本書を手にしたところ,さっそく第1章の「21世紀の産科外来」で,この本の意図がよく理解できた。従来の教科書にはない導入で,以下,妊娠時期による具体的な対応を中心にした記述が続く。産科外来で医者が即座の対応に困った場面を想定して書かれた,外来のちょっとした合間にも読める内容となっている。
 外来診療時の疑問点解決を第一義にしているので,胎児異常,切迫早産や妊娠糖尿病などのスクリーニングや,ハイリスク妊娠については外来管理から入院もしくは高次医療機関への紹介のタイミングなどに重点が置かれているのも本書の特徴である。具体的な管理法やcontroversialな問題点への言及が少ないのがやや気にかかるところではあるが,それらは本書の意図するところではないのだろう。

産科外来診療のminimal requirement

 いずれにしろ,産科外来診療に関するちょっとした疑問点や知っておかねばならないminimal requirementを確認できる書物としても適切である。外来診療の機会がそれほど多くない研修医にとっても,本書はぜひ手元に持っておきたい1冊といえよう。
B5・頁280 定価(本体7,200円+税) 医学書院


輸血に携わるすべての医療従事者に

輸血ハンドブック 関口定美 編集

《書 評》清水 勝(東女医大教授・輸血科部長)

輸血に関する情報をコンパクトに

 一般ハンドブックと称するものは,帯に短し襷に長しのものが多いが,その点,本書はは編著者を中心として各著者がお互いに気心の知れたもの同士であることからか,比較的よくまとまっていると言えよう。
 前半は,いわば総論と称すべき部分である。まず,輸血の歴史を簡略に要領よくまとめるとともに,いかに安全な血液を確保するか,今後の輸血がめざす方向性として従来の同種血に代わって,自己血,血液代替物,サイトカインの応用あるいは造血幹細胞の適応,さらに血液事業についても論じている。次いで,血液事業の項では,献血者の問診から検査に至るまでの現状と問題点をも取り上げていることから,このような血液センターの役割を知ることは有益であろう。検査法については,免疫学的,感染症別に記載されているが,通常これらの項目の記載内容の簡潔度とレベルとの均衡をどう取るかはかなり困難な問題である。本書でも個別的には若干の難易度の差が目立つものの,苦になるほどではなく,最近の知見にも触れられていることから大いに参考になるであろう。血液製剤と輸血の実際については,「改訂使用指針」にほぼ沿っており,著者自身の見解も述べられている点は評価できるが,校正ミスなのかいささか理解しがたい表現については検討の余地があろう。
 中盤は従来の輸血療法の各論的な部分である。まず,内科領域の輸血では,出血性貧血や血液疾患の病態と輸血の適応を具体的に述べているが,慢性貧血では改訂使用指針よりも厳しい内容となっており,化学療法時のサイトカインの適応にも触れている点は大いに参考になるであろう。小児の輸血については,近年わが国でも小児輸血療法研究会などで検討が進められており,本項では周産期を含めて主にAABB(American Society of Blood Banks)のガイドラインと「改訂使用指針」を中心に要領よくまとめられている。輸血副作用については,取り上げられている項目も適切なものであり,記載も簡潔で理解しやすいが,疫学的なデータの一部については若干の異論があるかもしれない。輸血の選択肢としての自己血輸血は,既にガイドラインも出されているが,本項によってその意義についてさらに理解を深め得るであろう。

患者治療への応用

 後半は輸血部門で培われた採血技術の,患者治療への応用についてである。特に,血漿交換などの治療的アフェレーシスは,成分採血で習熟された技術の活用であるといえる。近年この分野は各種の機器が開発され,独自の発展をしつつあるが,本項では機器の特性や保険適応となっている疾患などについてよくまとめられており,現状を把握するのに好適であろう。最終項では造血幹細胞移植を取り上げている。サイトカインによる細胞のex vivo増殖は,他の項に比してやや難解の感もあるが,その他の造血幹細胞移植では,技術的な事項,適応疾患と臨床成果,さらには骨髄バンクについても記述されている。これらの分野は,近い将来遺伝子療法をも視野に入れた細胞療法との観点から,輸血学の中で培われてきた技術と品質管理力が最も必要とされるとの著者の主張は,まったくその通りであると考える。
 輸血に関係する各分野は多岐にわたることから,何人かの著述内容のレベルをそろえ,しかもコンパクトにまとめることは意外に難しい仕事であるが,最初に述べたような理由からか,本書は全体としてバランスよくできていると思う。輸血に関係のある医師・看護婦・薬剤師や検査技師はもちろんのこと,医学関係の学生諸君にも参考書として本書を推薦したい。医学以外の分野の人で輸血に関心があり,もう少し輸血のことをよく知りたい人には,内容としても量的にも程よい参考書であると思う。
A5・頁208 定価(本体3,000円+税) 医学書院


「QT間隔」という最新の話題を整理する上で有用な1冊

QT間隔の基礎と臨床
QT interval and dispersion
 有田 眞,伊東盛夫,犀川哲典 編集

《書 評》小川 聡(慶應大教授・内科学)

 QT間隔への関心の高まりは,1つにはQT延長症候群に関する近年の分子生物学的研究の進歩が契機となったといえる。先天性QT延長症候群は,突然死の原因として治療法の確立が必要であり,また電気生理学的研究対象としても,きわめて興味ある疾患であるにもかかわらず,必ずしも循環器病学の中での位置づけは高くなかった。しかし,先天性QT延長症候群での心筋KチャネルやNaチャネルをコードする遺伝子の異常が明らかにされ,様々な臨床像が分子レベルから解明されることになり,さらに分子生物学的知見を治療へ反映できる1つのモデルとして脚光を浴びてきた。

新たに認識されたQT測定の意義

 一方,突然死をきたす致死的不整脈の発生機序としてのリエントリーや遅延後脱分極にかかわる心筋の再分極過程の異常がクローズアップされてきたことも,QT間隔ならびにその不均一性(QT dispersion)の意義が見直される原因となっている。単にQT間隔の測定にとどまらず,計測技術の進歩によりQT dispersionならびにその日内変動までをも評価できるようになり,自律神経の影響も含めてより多くの情報が得られるようになっているのも事実である。ただし,体表面心電図で測定するQT dispersionが果たして心室筋の活動電位持続時間の不均一性を正確に反映しているのかどうかという基本的問題は未解決である。特に,心室細動は限局性の不応期不均一性を基盤に発生し,また心拍数,自律神経あるいは一過性虚血などの機能的要因の影響を強く受けることから,心電図上のQT dispersionの心室細動予知への意義がどれほどあるか,さらなる検討が必要な状況といってよい。

第一線の研究者を執筆陣に加えて

 QTのみをテーマとした成書がこれまでなかった原因も,こうしたいくつかの未解決の問題への答えが出ていないことに求められよう。このたび出版された『QT間隔の基礎と臨床-QT interval and dispersion』は,こうした中でQT間隔に関する現段階における知見を基礎的ならびに臨床的見地からまとめたもので,特に臨床家にとって役立つ1冊である。特に編者である大分医科大学生理学の有田眞教授は,Kチャネルを中心とした心筋再分極過程の研究で世界的権威であり,また同大学臨床検査医学の伊東盛夫教授,犀川哲典教授はQTに関する臨床的研究にわが国でいち早く取り組まれ,心筋梗塞後のQT間隔の変動を明らかにされるなど,多くの優れた成果を上げてこられており,本テーマのまとめ役として最もふさわしい陣容といえる。執筆者にもこの分野の研究の第一線で活躍されている方々が含まれている。
 基礎編では,活動電位再分極過程に関わるイオン機序,イオンチャネルの構造,チャネルの異常とQT延長,薬剤とQT延長などが解説的に整理されており(有田教授),単相性活動電位からの検討(伊東教授),QT間隔およびQT dispersionの基礎とその理論的背景(犀川教授)なども網羅されている。いずれも現状の問題点を認識した上でのバランスのよい内容である。臨床編では,各種疾患(不整脈,虚血性心疾患,心不全,自律神経,糖尿病など)とQT間隔の異常が取り上げられ,さまざまな角度からQT計測の意義が検証されていて興味深い。
 最近数年間に急速に理解が進んできた心筋の再分極異常と不整脈死について大変よくまとめられており,アップデートな話題を整理する上で有用な1冊と言えよう。
B5・頁160 定価(本体4,700円+税) 医学書院


心房細動めぐる現状をこの1冊で把握

心房細動・粗動・頻拍
早川弘一,笠貫 宏 編集

《書 評》松崎益徳(山口大教授・内科学)

 早川,笠貫両教授編集による著書『心房細動・粗動・頻拍』は,不整脈を専門とした臨床家の永年の研究・診療の大きなテーマであったWPW症候群,房室結節回帰性頻拍がカテーテルアブレーションにより安全にかつ高い成功率で根治可能となってきた現在,心房細動を主なテーマとして書かれた著書である。本編432頁の中で310頁が心房細動に割かれている。他は,心房粗動に61頁,心房頻拍に35頁が当てられており,心房細動を心房粗動,頻拍と連続性を有する心房性不整脈という捉え方から構成されている。

高まる心房細動への関心

 序のところで述べられているように,1990年代になり心房細動に対する関心が急に高まってきている。これにはいろいろな理由が上げられるが,主には高齢者社会を迎え心房細動の頻度はますます増加していること,生命予後は良好であるが臨床症状や不安から意外とQOLの低下を認める患者が少なくないこと,心房細動では基礎心疾患がなくても,血栓塞栓症が以前考えられていた以上に認められること,抗不整脈薬に抵抗性であることが多いことが考えられる。
 一方,心房細動は現在でも基礎的にも臨床的にも,その発現機序や持続の機序に未解明の点が多く残されており,多くの研究者により電気生理学的,生化学的,また分子生物学的研究が行なわれており,この分野の研究も急速に進歩している。欧米では単行本が発刊されているが,本邦ではまだその関心は深いとは言えず,最近ようやく医学雑誌の特集で取り上げられるようになったばかりであり,残念ながらいままで心房細動をテーマとしたテキストはなかった。その意味でも本書は待望の書と言える。

心房細動に関する最先端の知見と考え方を提示

 総執筆者数は共著者を含めて114名と,テーマを絞った本としてはかなり執筆者が多いと思われる。その内容をみると,まさに専門家が選んだ専門家によって書かれた本と言っても過言ではない。中心的テーマである心房細動では,歴史,疫学をはじめ病理や自然歴,あるいはストレスとの関係など,幅広い分野での専門家の意見が書かれている。特に治療に関しては薬物療法,電気的除細動のみでなく,現時点では実験的であるが将来,治療法の1つになると考えられるものも記載している。本の特徴としてトピックスという項目があり最新の情報が掲載され,心房細動に関する最先端の知見と考え方が示されている。1999年3月の発行であるにもかかわらず,参考文献には,1998年の論文が多く引用されている。まとめられた本はとかくその記述が古くなりがちであるところ,早川,笠貫両教授編集者の力で短期間に編集されたことが推測され両氏の努力がうかがえる。
 この本1冊で,心房細動の長い歴史と現状を十分理解し,さらに今後の進歩の方向も知ることができる。初心者の方々はもとより循環器科の専門家にとっても座右の書となるものと信じる。
B5・頁432 定価(本体15,000円+税) 医学書院