医学界新聞

 

「骨と関節の日」記者説明会より


 さる9月9日,東京のKKRホテルにおいて,平成11年度「骨と関節の日」記者説明会が行なわれた。日本整形外科学会では1994年より,10月8日を「骨と関節の日」と定めており,その時期にはさまざまな企画や電話相談などを行なっている。今回の説明会では,「肩こり」がテーマとして取り上げられ,河合伸也氏(山口大教授)による講演「『肩こり』と肩こりに潜む病気」が行なわれた。
 河合氏の講演に先立ち,骨と関節をデザインしたアピールマーク(図)を発表。続いて日本臨床整形外科医会理事長の阿部龍秀氏が,「内科と協力し,患者さんを寝たきりにさせないように」と抱負を語った。また,衆議院議員の桧田仁氏が,2000年からの10年間が「筋・骨格系の国際年」となることを紹介し,今後の整形外科学の発展に期待する旨を述べた。
 講演「『肩こり』と肩こりに潜む病気」で河合氏は,「人体の構造や社会環境などを考えると『肩こり』は人間の宿命的な愁訴である」と述べ,肩こりの症状や原因を解説。原因となる社会環境として(1)運動不足,(2)情報過多によるストレス,(3)精神的疲労の増大,(4)机仕事(キーパンチなど),(5)運転,精密作業,(6)栄養の偏りなどをあげ,「女性に多いだけでなく,最近では若者に多く見られる傾向がある」と指摘した。また,肩こりの予防法として,正しい姿勢や適度な運動,肩周辺の筋を緩めることなどを紹介し,「積極的・能動的な生活を送ることがよい」と述べた。一方,疾病としての「肩こり」にも触れ,胸郭出口症候群や脊髄腫瘍,パンコースト腫瘍などの症例も紹介。最後に「安心して活動的な生活を過ごすためにも,近くに親しい整形外科医を持つことが大切」と語った。
 そして説明会の最後には,黒川高秀氏(日本整形外科学会理事長)が,「肩こりを軽視してはいけない」と締めくくった。