医学界新聞

 

看護診断-介入-成果のリンケージ

第5回日本看護診断学会開催


 第5回日本看護診断学会が,さる7月17-18日の両日,藤村龍子会長(東海大教授)のもと,「21世紀への新しい看護の挑戦“看護診断-介入-成果へのリンケージ”」をメインテーマに,横浜市のパシフィコ横浜で開催された。

ゴードン氏が2日にわたり招聘講演

 本学会では,NANDA(北米看護診断協会)看護診断審査委員会委員長のM.ゴードン氏(ボストンカレッジ名誉教授)を招聘。2日間にわたり,昨年4月のNANDA25周年大会で話題になった新しい看護診断分類(本紙1998年6月29日付,第2295号参照)や,本年3月にイタリアで開催された第2回ACENDIO(看護診断介入成果欧州協同協会)大会の動向などについて,2部構成による講演が行なわれた。
 また,藤村氏は「実践を方向づける看護診断」をテーマに会長講演。これまでの看護診断の歩みと今後の方向性に関して,日米の比較をしながら看護の科学の発達と看護診断用語の開発と実践の方向などの視点から述べ,看護診断-看護介入(NIC)-看護成果(NOC)のリンケージが意図する方向などについて論じた。

看護診断のこれから

 一方,フォーラム「日本看護診断学会の行方と提言」(司会=桐生短大 青木康子氏)は,同学会が設立(1991年に研究会として発足,1995年に学会と改称)され10年の節目を迎えることから,改めて学会発展の指標を示そうと企画された。設立当初より学会運営に携わり,今後の学会活動の基幹をなす3委員会の代表,および理事長が顔を揃えた。登壇したのは,松木光子理事長(日赤北海道大),野島良子看護診断用語検討委員長(広島大),江本愛子研究推進委員長(三育学院短大),江川隆子国際交流委員長(阪大)の4人。
 松木理事長は,医学のICD-10同様,看護にも国際的な看護用語の定義が必要であるとの視点から,ICN(国際看護婦協会)でICNP(看護実践国際分類)が検討されていること,欧州の一部では検証段階に入っていることを報告。今後はICNPが国際機関に登録され,世界的に広まっていく可能性が強いことを示唆した。なお江川氏は,NANDAに1000名以上が加盟している国は日本とスペインのみであること,新たにホームページを開設したことを報告した。
 今学会ではメインテーマの「NANDA-NIC-NOCのリンケージ」が各セッションで話題となり,NANDA,NIC,NOCはそれぞれがともに関連していることがこれまでになく強調されたが,これからの日本における看護診断のあり方,方向性が示されたと言ってもよいだろう。また,1997年より開始されたNANDA・NIC・NOCカンファレンスでの新たな看護標準語の開発や,松木氏から報告されたICNPの動向も,今後大いに注目されるところだ。
 なお,第6回学会(会長=滋賀医大教授 筒井裕子氏)は,明年6月17-18日の2日間,Mridiean L. Maas氏(アイオワ大教授)を招聘し,「高齢社会でHUBとして働く看護診断」をメインテーマに,滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで開催される。