医学界新聞

 

米国におけるクリニカル・クラークシップ

マーク・フェイガン氏(ブラウン大)が講演


 本年5月14日,東京・霞が関にある東海大学交友会館で東海大学医学部主催,日本医学教育学会カリキュラム委員会共催による,公開討論会「アメリカにおけるクリニカル・クラークシップ-全米標準カリキュラム作成の背景と実践」が開催された。
 当日は,黒川清氏(東海大医学部長),長村義之氏(同副学部長)から,それぞれクリニカル・クラークシップ(以下,クラークシップ)導入の意義,東海大における現状が口演された後,米国,ブラウン大学内科のクラークシップ・ディレクターであるマーク・フェイガン氏が「The Core Medicine Clerkship Curriculum」を口演した。

標準化進むカリキュラム

 米国では,医学校(4年制)の3,4年次に行なわれる臨床実習方式として,クラークシップがすでに定着しているが,近年,全米で共通のカリキュラムが作成され,広く使用されるようになるなど,さらに教育内容の標準化,効率化の動きが進んできている。全米の内科クラークシップ・ディレクター会議(CDIM Clerkship Directors in Internal Medicine)の委員であるフェイガン氏は,同カリキュラムの意義,内容,使用法について,ブラウン大学での実践報告を交えて概説した。
 フェイガン氏はこの中で,同カリキュラムにおいて最も重視される基本的技能とは,「診療における意思決定,ケースプレゼンテーション,病歴聴取・身体診察,コミュニケーション,検査結果の解釈,生命倫理,主体的学習(Self-directed learning),予防」であると指摘。また,クラークシップを行なうにあたっては,「学生はアクティブな診療チームの一員でなければならず,入院患者については患者の診療に直接の責任を持たなくてはならない。外来患者についても,患者管理に直接の責任を持つべきだ」との考え方を示した。
 さらに氏は,OSCE(客観的臨床能力評価試験;Objective Structured Clinical Examination)などを用い多角的な評価を実施することの重要性,Faculty Development(教育者の教育能力の開発)の必要性を特に強調していた。
 本講演会は全国から参集した医学教育担当者で満席となり,熱心に講演に聞き入る参加者たちの姿からクラークシップへの関心の高さがうかがわれた。