医学界新聞

 

新会長に南裕子氏を選出

平成11年度日本看護協会通常総会開催


 日本看護協会(見藤隆子会長,会員数約48万人)の平成11年度通常総会および全国職能別集会が,さる5月19-21日の3日間,横浜市の横浜アリーナで開催された。

紛糾する一幕もあった議案審議

 初日午後から翌全日にかけて行なわれた通常総会では,開会式に引き続き事業報告や理事会をはじめとする各委員会からの報告の後,9つの議案が審議された。
 なお今総会の3号議案「看護制度改正推進について」では,「准看護婦問題調査検討会報告書」(1997年12月,厚生省)の提言の早期実現などが提案されたが,この中で執行部は准看護婦から看護婦への移行教育に関する問題に関し,「准看護婦養成停止のメドをつけた後に移行教育を実施すべき」との考えを明確に示した。また「准看護婦問題」をめぐっては,会場から質疑や意見が相次いで出された。
 さらに4号議案では,当初日本看護協会看護教育・研究センターでの実施を予定していた「専門看護師」の教育課程に関し,看護系大学院での専門看護師教育課程が増えてきていること,教員の確保や経済的負担の困難性などを理由として,専門看護師教育課程の開設を断念する旨を提案。また,同協会原宿会館の建替え,日本看護協会出版会の株式放出なども提出され,事業計画,予算案ともに承認された。
 ただ5号議案である「定款ならびに細則の一部変更」については,(1)審議員を都道府県協会長とする,(2)役員立候補者名順位を50音順とするの2点に反対意見が集中。対応策として執行部は(1)を削除する修正案を提示し,異例の投票による裁決を行なったが,結果として出席者の3/4以上の同意を得られず否決された。さらに,執行部は「定款改定を国に提出する期限がある」との理由で,「会員外の監事の選任」に関する項目のみを改正するという修正案を再提出し結果として承認された。その他の改定項目はすべて継続審議となったが,この間の議長の対応をめぐって議場が紛糾する場面もあった。議案が異例の「否決」となったことから,今後の議長団のあり方や提案のしかたには工夫の必要性が感じられた。

心残りは「准看護婦問題」

 その後に行なわれた役員改選選挙では,見藤会長に代わり南裕子氏(兵庫県立看護大学長)が新会長に選出された。見藤会長は会長職退任にあたり,「准看護婦養成停止問題が解決されないままとなったのが心残り」と述べ,今後は看護職も政治力を身につける必要性を強調した。
 一方,南氏は「20世紀の仕事を21世紀に残さないようにしたい。看護の質の向上には会員皆の力が必要」と挨拶。「国民が安心して,その人らしく生きていくために看護の力を示していきたい」と述べた。
 なお,同総会では老朽化に伴う原宿会館の建替えに関して,今年度中に基本設計を行ない,資金確保(現時点で8億円が不足金とみられる)の方法を平成12年度通常総会に諮り,14年度の竣工をめざす旨が報告された。また,将来計画委員会答申も発表。「政策・戦略立案のための看護政策研究機関の設立」などを提言する内容の,「2010年の日本看護協会」像が示された。