医学界新聞

 

第21回日本POS医療学会が開催される


 第21回日本POS医療学会が,さる3月20-21日の両日,中木高夫会長(名大教授)のもと,名古屋市の名古屋大学東山キャンパスで開催された。21回目を迎えた今学会では,「在院日数の短縮化,介護保険の導入など,医療の流れが変わる中で,POSが医療に果たす有効性を再認識したい(中木会長)」との考えから,「POSによるケアインテグレーション」をメインテーマとした(本紙2337号にて既報)。

さまざまな視点からケアインテグレーションを模索

 本学会では,I.POSのよさをいかすために,II.病院におけるケアインテグレーション-医師・ナース・薬剤師・栄養士の連携,III.地域におけるケアインテグレーション-病院・診療所・訪問看護・介護の連携,IV.ケアインテグレーションとバイオエシックス-インフォームドコンセントと情報開示,V.急性期包括払い方式(DRG/PPS)におけるケアインテグレーション-POSとクリティカルパス,VI.ケアの質向上のためのPOS-臨床実践基準による質の保証,の6テーマのワークショップを開催。その後に,これらのワークショップを受けたシンポジウム「POSによるケアインテグレーション-ワークショップファシリテーター揃い踏み」(司会=中木高夫氏,東海大 藤村龍子氏)が企画された。
 同シンポジウムの中で植村研一氏(浜松医大)は,日本でも看護界を中心に注目を集めている「クリティカルパス」に関して,「入院日数の短縮だけが強調されているが,患者のQOLを考えることが第1目的」と発言。また岩崎榮氏(日本医大)は,「基準看護の“2:1看護”は世界では当たり前となっているが,日本ではまだ最良ランクに位置づけられている。時代の要請からも早急な改善が必要」と指摘。さらに宮本信彦氏(川崎市立川崎病院)は,「医師は診断しか考えていない。患者のことは,訴えも含めて看護者が主張をすべき」と述べた。
 また同学会では,最終プログラムとして日野原重明同学会会頭(聖路加国際病院名誉院長)による講演「POSによる統括したケア(integrated care)の提供」が行なわれた。この中で日野原氏は,「21世紀は医療のオーバーラップの時代。医師・看護職の対立の構造から重畳の時代となろう。アメリカではナースプラクティショナー(NP)が当たり前に医師の役割を担っており,訪問看護の現状などから見ると,日本も近い将来NP制を取り入れられるようになるだろう」と指摘した。