医学界新聞

 

21世紀の医学・医療のあり方を論議

第25回日本医学会総会開催


 第25回日本医学会総会(会頭=自治医大学長 高久史麿氏)学術講演が,さる4月2-4日の3日間,「社会とともにあゆむ医学-開かれた医療の世紀へ」をメインテーマに,東京・有楽町の東京国際フォーラムを中心に開催された。同総会は,1902(明治35)年から4年ごとに開催されているが,今回は初の総会からほぼ100年,また今世紀最後の開催となることから,「今世紀中における医学の発展を振り返り,同時にきたる21世紀のわが国の医学・医療のあり方を考える絶好の機会」(学術講演要旨より)と位置づけられた(本紙2337号2338号にて既報,および本号2面に詳報)。


 今総会では,メインテーマに沿って「学術講演」および「医学展示・博覧会」を企画。会場の1つとなった東京ビッグサイトでは,一般市民が医学・医療に触れるべく「生命の博覧会」が開催(3月30日-4月8日)されたが,約31万人もの入場者を集め,21題の「市民公開講座」への参加とともに,市民の医学・医療への関心の高さを物語っていた。
 なお学術講演では,開会・閉会講演や会頭講演,特別講演(12題),レクチャー(29題)などが連日行なわれた。また,25の柱からなる学術講演の中には「看護とチーム医療」や「医療における教育と福祉」,「21世紀の医療」などのセッションも企画され,看護職の活躍も注目された。

看護職からも数多くの発言が

 「看護とチーム医療」部門以外での看護者による発言は,「21世紀の医療」部門で矢野正子氏(静岡県立大)がレクチャーをした他,「医薬と薬理」部門のパネル「臨床治験のあり方」で井部俊子氏(聖路加国際病院)が,「緩和医療」部門のシンポジウム(以下シンポ)では石垣靖子氏(東札幌病院),「医療における教育と福祉」部門のシンポに荒井節子氏(大和町農村検診センター)が登壇。さらに,シンポ「在宅医療のチームワーク」では,西村洋子氏(山口県立大)が司会を務めた他,パネル「地域医療における訪問看護」(司会=聖路加看護大 川越博美氏,健和会訪問看護ステーション 宮崎和加子氏)も企画された。
 一方,「看護とチーム医療」部門では,シンポとして「在宅高齢者の看護サービスシステム」(司会=東大 金川克子氏,千葉大 平山朝子氏),「子どもの育成と看護の役割」(司会=東大 杉下知子氏,愛知県立看護大 小宮久子氏),「看護職から見た現代の医療」(司会=井部俊子氏,青森県立保健大 上泉和子氏)の3題の他,パネル「大学における看護教育のあり方」(司会=愛知県立看護大波多野梗子氏,筑波大 竹尾恵子氏)が開催された。またレクチャーシリーズ(7題)では南裕子氏(兵庫県立看護大)や山崎摩耶氏(日本看護協会)の看護職をはじめ,中木高夫氏(名大)の「多職種の連携による医療の質の向上」など,医師・薬剤師による講演が行なわれた。

看護職の参加は少数ながら

 約2万6000人を集めた本総会では,21世紀の医療を展望する多くの企画がなされた。中でも「DRG」や「保険医療政策」などに関する部門には参加者が大勢詰めかけるなど,関心の高さを示していた。一方で,遺伝子・分子レベルでの医学研究の進歩から画像処理技術などの進化に関する発表も多数あり,医学の急速な進歩は,今後ますます加熱していくことが示唆された。
 なお,本総会への看護職の参加は少数だったが,看護のセッションに多くの医師が参加。また,医師部門のシンポや講演の中でも「看護職は医療におけるパートナー」を強調する意見も多く,医学の進歩における生命倫理や患者などの周辺医療に看護職は欠かせない存在であることが語られた。