医学界新聞

 

第10回「理学療法ジャーナル賞」の贈呈式が開かれる


 第10回「理学療法ジャーナル賞」に下記の3論文が決定,さる2月13日,東京・本郷の学士会館分館でその贈呈式が開かれた。
 「理学療法ジャーナル賞」は,『理学療法ジャーナル』誌(医学書院発行)に掲載された原著論文,依頼論文の中から,毎年1回,同誌の編集委員の選考によって,優秀論文を顕彰するもので,小規模だがユニークなものと注目されている。本年は同誌が1989年に,『理学療法・作業療法』誌から発展的に分離独立してから10年を経過した記念すべき第10回目の授賞となった。
〔入賞〕
 佐々木誠氏(仙台医療技術専門学校),他:「等速性脚伸展筋力増強訓練と等速性膝伸展筋力増強訓練とのトレーニング効果の比較」(32巻5号)
〔奨励賞〕
 臼田由美子氏(群馬県立小児医療センターリハビリテーション科),他:「小児の嚥下協調障害に対する理学療法」(32巻3号「Case Presentations」)
 前野里恵氏(横浜市大附属浦舟病院リハビリテーション科),他:「同一速度における陸上トレッドミル歩行と水中トレッドミル歩行の呼吸循環応答」(32巻10号)
 贈呈式では,初めに金原優医学書院社長より,賞状と賞金が各受賞者に授与された。続いて,編集委員会を代表して鶴見隆正氏(広島県立保健福祉短大)が,「佐々木氏の論文は,open kinetic chain(OKC)とclosed kinetic chain(CKC)の両者を,6週間にわたって等運動性機器を用いて比較検討したうえで,垂直跳びや横跳び等のパフォーマンスとの関連性を追求したもので,研究デザインと統計処理の確実性が評価された」と選考経過と授賞理由を述べ,さらに,「筋力増強は運動療法の中核をなす技術であるので,運動の特異性あるいは運動学習の観点から,健常者だけでなく患者さんを通じて研究を深めて貰えれば,さらに臨床に役立つ研究となろう」と研究の継続に期待を寄せた。
 一方,奨励賞に輝いた臼田氏の論文は,連載「case presentations」欄の1つであったが,嚥下障害を伴った小児の2例を経過を追ってまとめた「症例報告」の優れたモデルとして評価された。また,前野氏の論文は,水中セラピーを最大酸素摂取量やパーセント最大心拍を1つの指標として,その運動強度を観察したという着眼点のよさが評価された。
 今年も引き続き,本年1年間,同誌に掲載される論文の中から「第11回理学療法ジャーナル賞」の受賞論文が選考される。
 なお,本年5月23-28日には,奈良勲会長(日本理学療法士協会長)のもと,「第13回世界理学療法連盟学会」が横浜市(パシフィコ横浜)において開催される。同学会の詳しい内容は,WCPT学術集会関連ホームページ(http://www.convention.co.jp./wcpt99/)で紹介されている。