第2334号 1999年4月12日


メインテーマ“21世紀への飛翔-共生のための科学と文化を求めて”

第36回日本リハビリテーション医学会
〔5月20-22日鹿児島市〕開催に際して

田中信行
(第36回日本リハビリテーション医学会学術集会会長/鹿児島大学医学部教授・リハビリテーション医学講座)


メインテーマとその理念-共生のための科学と文化を求めて

 第36回日本リハビリテーション医学会学術集会はきたる5月20日(木)から22日(土)の3日間,鹿児島市市民文化センター,サンロイヤルホテル,およびベイサイドガーデンで開催されます。
 5月の鹿児島は樹々の緑も,風も光も最高の季節です。
 今回のメインテーマを,「21世紀への飛翔-共生のための科学と文化を求めて」としました。平均寿命81歳という高齢化社会への最大のメッセージは,「Longevity of Life(長生き)」の医学から「Quality of Life(生きる喜び)」の医学への転換,そして健康者・病者・障害者,また子ども・大人・老人の共生の意識でしょう。それには共生のための社会的合意やシステムの充実,そしてリハビリテーション医学の科学的基盤の確立が重要です。

特別講演,シンポジウム,パネル等

 メインテーマと関連して,私の敬愛するあいち健康の森・健康科学総合センター長の井形昭弘先生に特別講演「21世紀の長寿科学の展望」をお願いし,またシンポジウム「共生のための保健・医療・福祉の展望」を企画しました。
 この中で21世紀の医学・医療のあり方や共生のための理念,システムについて,有意義な提言がなされるでしょう。
 また,リハビリテーション医学には「機能の再建,強化」が欠かせませんが,その分子レベルでの基盤は“遺伝子発現(転写)の促進”にあると考えられます。運動,作業,教育と言葉は違っても,それは筋肉,骨の肥大や増殖,脳の可塑性(軸索,樹状突起の伸張等)に立脚しているからです。シンポジウム「リハビリテーションにおける分子生物学」を通じて,“遺伝子発現の促進が機能回復の基盤”であるとの理解が,リハビリテーション医学の科学性を高めるものと信じます。
 さらに,脳損傷のリハビリテーションで重要な前頭葉機能に関して,前京都大学霊長類研究所長の久保田競先生に「前頭葉の機能とリハ」の特別講演をお願いし,痛みの診断やリハビリテーションに関して,カロリンスカ研究所リハビリテーション科のPer Hansson先生に「Neurogenic Pain」の招待講演をお願いしました。
 その他,保健,医療,福祉の現実的課題として,「DRG/PPSとリハビリテーション医療」,「介護保険におけるリハビリテーション医学の位置づけ-維持的リハビリテーションの視点から」をシンポジウム,パネルとして企画しました。「高次脳機能障害のリハビリテーションと長期予後」「温熱・水治療の新しい展開」も興味をもっていただけると思います。
 一般演題も645題の多数にのぼり,最終日の午後には,社会で活躍中の障害者の方々による市民公開講座「バリアを超えて」と,「脳性マヒ研究会」も開催されます。
 学術集会のあい間には,洋上での会員懇親会「錦江湾サンセットクルーズ」や霧島,指宿温泉,桜島,薩摩焼陶苑の旅も企画されています。実りある学会に向けて,皆様の御協力と多数の御参加を心からお願いいたします。
 なお,学術集会のプログラムは以下の通りです。
●学術集会プログラム
招待講演:「Neurogenic Pain;Diagnosis, pathophysiology and treatment」(Karolinska Institute. Per Hansson氏)
特別講演
(1)21世紀の長寿科学の展望(井形昭弘氏)
(2)前頭葉の機能とリハビリテーション(日本福祉大 久保田競氏)
会長講演:リハビリテーション医学への展望と課題
〔シンポジウム〕
(1)共生のための保健・医療・福祉の展望(座長=国立身体障害者リハセンター更生訓練所 中村隆一氏,都立保健科学大 米本恭三氏)
(2)リハビリテーションにおける分子生物学(座長=東北大医学系研究科障害科学 佐藤徳太郎氏,鹿児島大・生化学 佐伯武頼氏)
(3)診断群別包括支払制度(DRG/PPS)とリハビリテーション医療
(座長=防衛医大リハビリテーション部 石神重信氏,慈恵医大リハビリテーション医学 宮野佐年氏)
〔パネルディスカッション〕
(1)介護保険におけるリハ医学の位置づけ-維持的リハビリテーションの視点から
(座長=弘前大附属脳神経血管病態研究施設・機能回復部門 福田道隆氏,日医大第2病院リハセンター 竹内孝仁氏)
(2)骨粗鬆症の予防とリハビリテーション(座長=熊本大・整形外科 高木克公氏,埼玉県立総合リハセンター 里宇明元氏)
(3)高次脳機能障害のリハビリテーションと長期予後
(座長=大牟田労災病院・神経内科 志田堅四郎氏,国保日高総合病院・脳外科 前島伸一郎氏)
(4)温熱・水療法の新しい展開
(座長=広島県立保健福祉短大 土肥信之氏,東北大・運動障害学 岩谷力氏)