医学界新聞

第2回日本臨床救急医学会総会の開催にあたって

加来信雄(第2回日本臨床救急医学会総会長/久留米大学教授・救急医学)


 日本臨床救急医学会は,プレホスピタルケア,初期救急医療,2次救急医療,3次救急医療に携わるすべての医師,看護婦(士),救急隊員,その他のコメディカルの方々が一堂に集い,ともに正会員として,自由に救急医学,救急医療を論じ得る学会として,1997年に設立されました。
 学術集会での発表は,“臨床研究”の成果に限らせていただき,会員それぞれの立場から,救急患者の“life saving”について討議し,相互理解を高めることによって,総合的に救急医療の向上を図ることも目的の1つにしております。
 例えば,救急搬送にしても,医師による搬送,救急隊員による搬送の是非論ではなく,どうすれば傷病者が助かる方向に向かうのかを考え,搬送体制を構築しなければなりません。そして,搬送されてきた救急患者の対応には医師,看護婦(士),その他のコメディカルの連帯的な行動がなければ救命率の向上は望めません。
 このような理念のもとに,第2回日本臨床救急医学会総会を,きたる4月20-21日の両日,福岡市のアクロス福岡で開催いたします。今学会では,臨床現場に即したシンポジウムやパネルディスカッションなどの他に特別プログラムとして,「救急医療における感染管理-エイズ拠点病院の救急医療体制を契機として」をとりあげ,基調講演のあとにパネルディスカッションを予定しています。
 また,「外傷患者に対する初療の展開と手術」をテーマに,ビデオセッションも設けました。さらに,一般演題の内容は学会を評価する尺度でもあります。したがいまして,ご応募いただいた演題はすべて査読させていただき,徹底的に討論できるよう工夫をこらしております。多数の皆様のご参加を期待しております。

●第2回日本臨床救急医学会総会
・日時:1999年4月20日(火),21日(水)
・会場:アクロス福岡(福岡市中央区天神)
・プログラム
〔会長講演〕「私の卒後15年間の足跡(救急医をめざして)」
〔シンポジウム〕(1)救命救急センターの今後のあり方,(2)救急搬送体制の今後のあり方,(3)高齢者の緊急手術における術中・術後管理と看護
〔パネルディスカッション〕(1)救急医に求められるもの,(2)脳死患者への対応はいかにあるべきか?,(3)重症肝外傷への挑戦
〔ワークショップ〕(1)2次救急医療の機能を果たす要件,(2)救急医療とインフォームド・コンセント,(3)DIC治療の展開,(4)前胸部叩打法は有効か?
〔イブニングセッション〕(1)僻地救急医療に求められるもの,(2)救急救命士生涯教育のあり方
〔ビデオセッション〕外傷患者に対する初療の展開と手術
〔教育講演〕(1)救急医療におけるメンタルヘルスケア,(2)救急現場における感染防止対策について
・特別プログラム:救急医療における感染管理-エイズ拠点病院の救急医療体制を契機として
〔基調講演〕Thomas M. Hooton(Harborview Madison Clinic),Jeanne Cummings(Harborview Medical Center)
〔パネルディスカッション〕救急医療におけるInfection Control
・事務局:〒830-0011 久留米市旭町67 久留米大学医学部救急医学
 TEL(0942)35-3311/FAX(0942)35-3920