医学界新聞

東海大のクリニカル・クラークシップ


教わる授業は3年次まで

 東海大では,1996年8月に黒川氏が医学部長に就任して以来,米国式のクリニカル・クラークシップの導入に全学部をあげて取り組み,1997年9月に導入。大幅な教育カリキュラムの改定を行ない,1998年4月には,講義形式のカリキュラムを3年次まででほぼ終了させ,4年次からは通年でクラークシップを行なう形へと移行した(表1)。
 4年次に始まるクラークシップでは1クールを4週間とし,内科,外科を中心に全7クールのクラークシップ。5年次では1クールを3週間とし,産婦人科,小児科,精神科,整形外科,救急医学,放射線科,麻酔科,および,学外病院実習等においてクラークシップを行なう。最終の6年次ではフルタイムの選択科目制臨床実習となり,学生の指向に合わせて実習診療科を選べる制度(クラークシップ)となっている。

学生も診療チームの一員に

 クラークシップの方法は米国と同様にチーム制がとられ,学生は2名ずつのペアを組み,そこに指導を担当するチーフ(卒後5年以上の医師)とシニア(卒後3-5年の医師)と呼ばれる若手医師がつく。さらに研修医(卒後1-2年)を加えた5-6人でチームを形成する。
 各学生は2-3人の患者を担当し,チーフやシニアの監督・指導のもと,問診,打診,聴診やさまざまな医療機器による診察,救急救命,麻酔,外科における手術介助など,診療,検査,治療,手術の幅広い分野で経験を積む。また,チーフ,レジデントの他にアテンディング(知識面の指導担当,通常は講師以上)やプリセプター(学習方針指導,問題点解決,チーフより上級の医師)がつき,学習をサポートする(図1)。
 クラークシップでは患者から情報を集め整理しチームに提供する役割を学生が受け持つ。情報を集めるために毎朝,最も早く患者を訪れ,問診と診察で患者の状況を把握する(モーニングラウンド)。また,原則として毎日,チーフが統括するチームラウンドに参加し,問題点を整理する。状況に応じて課題が与えられることもある。
 また,週1回以上アテンディングからミニレクチャーを受ける(アテンディングラウンド)他,週1回,実習の内容や問題点をプレゼンテーションし,プリセプターの指導を受ける。そこでは,実習の場での悩みなどの相談にものるという。
 クラークシップによる大まかな週間計画を表2に示す。

図1 指導体制
点線の内側が診療チーム。学生は日常の診療を通してチーフやシニアだけでなく,研修医からも学んでいくことになる