医学界新聞

21世紀に向けてのホスピスケアとは
    -市民公開講座開催


 最終日には,日野原重明氏(聖路加看護学園理事長)と季羽倭文子氏(ホスピスケア研究会代表)を講師に迎え,「21世紀に向けて,日本におけるホスピスケアのあり方」と題する市民公開講座が開催された。
 その中で日野原氏は,「ホスピスは患者の痛みを和らげ,残された人生を快適に過ごす場所であり,末期患者の収容先ではない」とし,医師も一般の人々もホスピスに対して誤った概念を持っていることを指摘。「もともと“hospice”とは,巡礼の人を泊め,簡単な食事を与える所という意味であり,“hospital”や“hotel”に派生した言葉であった」ことをあげ,「退院できる時は退院し,入院の必要が生じればまたいつでも入院できるのがホスピスであり,近い将来の希望を与えるものだということをわかってほしい」と,一般の人々にもわかりやすい言葉で訴えた。
 続いて登壇した季羽氏も,日野原氏と同様,ホスピスに対する意識を変えることが重要だとするとともに,「7割以上の人々が自分に対しては(がんの)告知をしてほしいと思っているが,家族に対しては告知したがらない」ことをあげ,「死についてもっとオープンに話し合える場が必要であり,そのためにもホスピスが重要な役割を果たす」と発言。ホスピスナースの教育の遅れも指摘した上で,「対象は広がりつつあるのだから,これからは一般病院でもホスピスケアを行ない,ホスピスケアがもっと開かれた身近なものになるようにすべきだ」と語った。