医学界新聞

研究継続の障害をどう克服するかを論議

第8回日本看護教育学学会開催


 第8回日本看護教育学学会が,さる8月20日に,定廣和香子会長(順天堂医療短大)のもと,「看護教育学 0(ゼロ)からの出発」をメインテーマに掲げ,千葉市の幕張メッセ国際会議場で開催された。
 今学会では,同学会の創設者であり明年退官を迎える杉森みど里氏(千葉大)による基調講演「看護婦による看護教育学の体系化」の他,,シンポジウム「看護教育学研究継続に向けての障害と克服」(司会=千葉大 山田あゆみ氏)が企画された。また,1つの研究発表に対して批評者をたて,フロアを交え十分な質疑討論(30分)を行なうことを目的としている一般演題発表は,今回は特別演題「看護学実習における教授活動に関する研究-学生と患者の相互行為場面における教員行動に焦点をあてて」(船橋看護専門学校 小川妙子氏)をはじめとして4題の研究が発表された。

大学院看護研究科での学びを踏まえた研究継続の障害克服

 今学会のシンポジウムは,「看護教育学とその学問領域にかかわりを持つ研究者の研究継続に焦点をあて,大学院看護研究科で看護教育学を専攻した研究者が,どのように研究を継続しているのか,研究継続の過程での障害をどう克服しているのかについて討議し,研究継続への示唆を得たい」との主旨により企画。また司会を務めた山田氏は,看護教育学とは「看護学各領域の教育に普遍的に存在する教育学的な要素について教育・研究し,看護婦(士)養成教育の質の向上に貢献することをめざす学問である」と定義づけた。
 このシンポジウムのテーマに沿い,4人のシンポジストが登壇。慢性疾患患者教育をテーマに研究を続けている安酸史子氏(岡山県立大)は「看護教育学研究と看護学研究の両立に向けての提言」を,「研究を継続する際に障害となったのは自分自身である」と語った太田澄恵氏(順天堂医療短大)は「臨床看護婦および成人看護学教員としての看護教育学研究活動の継続」を,また往復4時間の通学時間の中で新しい用語や情報を書き込んだ自作の「要点カード」を用いた学習法を披露した本郷久美子氏(三育学院短大)は「研究能力獲得への挑戦と看護教育学研究の継続」を,現在大学院博士後期課程に在籍する横山京子氏(千葉大大学院)は「大学院に在籍して研究を継続する立場から」を,それぞれが経験を踏まえての口演を行なった。
 なお,今学会で「患者のベッドサイドに存在する看護婦(士)を象徴する燭台」をモチーフとしたロゴマークが披露された。