医学界新聞

「介護保険法」居宅サービス事業者等の指定基準改定へ

厚生省医療保険審議会老人保健福祉部会での検討続く


 厚生省の医療保険審議会「老人保健福祉部会」では,2000年実施の介護保険法下における居宅サービス事業者等の指定基準についての論議が行なわれている。
 さる5月11日に開かれた第9回審議会では,65歳未満の特定疾病は,アルツハイマー病などの「初老期の痴呆」,脳出血などの「脳血管障害」,ALS,パーキンソン病など15症候群が候補にあがった。

訪問看護ステーションの人員配置は2.5人に

 一方,看護職に最も関連する問題としては,「居宅介護支援事業者および居宅介護サービス事業者の指定基準の概要について(案)」を11日に提示。以降引き続き論議が進められているが,厚生省から,訪問看護ステーションは本年2月現在で2469か所,1施設の従業者数は,3人未満が15.7%,4人未満37.8%,5人未満18.9%,6人未満10.8%(1996年訪問看護統計調査より)と報告された。
 訪問看護については,現在法律に基づく事業規制はなく,老人保健法(老健法)下での訪問看護事業者の指定だが,介護保険法の施行に伴い同法下に基づく居宅サービス事業者の指定の1種類に移行する。指定基準は老健法を基に検討を行ない定めるとしているが,人員基準(看護職員)に関しては,「保健婦,看護婦,准看護婦,管理者を含め,常勤換算で2.5名以上配置し,うち1名は常勤とすること(従来の老健法に基づく厚生省令等では,保健婦,看護婦,准看護婦2.5名以上の明記のみ)」が提案された。また,管理者については従来の「保健婦または看護婦(常勤専従)」から,「保健婦または看護婦。原則として専ら当該事業に従事する常勤の者。ただし,居宅介護支援事業所,訪問介護事業所等と当該事業所が併設の場合には,これらの従事者(管理者を含む)を兼務できる」としている。
 厚生省は,この2.5名とした根拠を「サービス時間(24時間サービス)に対応した人数値から算出したもので,今までと同様」と説明。同審議会の委員の1人である見藤隆子日本看護協会長は,「現状でも1施設3名以上が85%近くを占めており,2.5名では低い」と反論した。この訪問看護ステーションにおける人員配置基準に関しては,何名を基準とするのが最良なのかが論議されてきた。欧米では,最低限の1名でも開設可能としており,玄関に看板を下げて訪問看護を実施している所もある。日本においても,単独事業者ステーションの可能性について,「看護職が開業権を取得する絶好機であり,1名はあくまで最低の数字」との主張も根強くあり,過疎地域などでの活躍も期待されている。一方で,「人権人格を尊重した配慮の必要性,施設の責任能力,管理者の業務兼務は質の低下を招きかねない。複数以上の看護職員は必要」との意見もある。
 具体的な人員配置および設置基準は今後の審議会で検討されるが,在宅看護を推進し,開業看護婦を育成している村松静子氏(在宅看護研究センター代表)は,「養護学校に通う要介護の生徒の看護などは,専従で1人の看護職が行なうことも可能。フランスでは国家資格での単独開業を自由としており,全看護職の20%近くが自宅で開業し,国民からの支持も強い。日本のこれからの高齢社会を考えれば,今が1人開業を認める時期なのではないか」と語った。
 なお,本紙では8月発行の看護版でこの話題に関する座談会を掲載予定である。