医学界新聞

第3回国際炎症学会

第18回日本炎症学会同時開催される


 第3回国際炎症学会が,11月16-20日,東京国際フォーラムにおいて,水島裕会長(聖マリアンナ医大教授)のもとに開催された。また同時に,第18回日本炎症学会が市川陽一会長(聖マリアンナ医大教授)のもと,11月20-21日の両日,同会場で行なわれ,20日には両学会の共催プログラムが組まれるなど,参加者は両学会に参加可能という配慮がなされた。

世界の第一線の権威が一堂に

 5日間かけて開催された国際学会では,ノーベル賞受賞者であるJ.R.Vane氏をはじめとする各研究分野の権威者が一堂に会し,慢性関節リウマチや気管支喘息などの原因である炎症の最先端の研究成果が発表され,活発な討議を展開。世界の第一線の研究者によるプレナリーレクチャーでは「NF-κBをターゲットにした抗炎症薬」,「免疫疾患におけるサイトカイン調節機構(阪大 岸本忠三氏」,「炎症性疾患における骨吸収」,「LTC4合成酵素の分子レベルの分析」,「T細胞亜分画による免疫制御とサイトカイン」6類が企画され,多くの参加者を集めた。さらに,プレコングレスシンポジウムが「COX2選択的阻害薬」をテーマに行なわれるなど,シンポジウムは25を数えた。
 また,20日に行なわれた水島氏の会長講演では,以前からの研究成果を踏まえ,「Treatment of Inflammatory Diseases by Newly innovated Drug Deliverly System」をテーマに,レチノイド-SODを用いた新しいDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を中心とした話題が提供された。

基礎と臨床にわたる多彩なテーマ

 一方,日本炎症学会では,基礎から臨床にわたる幅広いテーマでシンポジウム,ワークショップが展開された。教育講演では,ケモカインとして初めてIL-8を発見した松島綱治氏(東大医科研)が「新しい炎症制御分子,ケモカイン」と題して炎症におけるケモカインの役割を,また「細胞障害と炎症」と題して奥村康氏(順大)が炎症病態における免疫研究の最新の知見を解説。さらにシンポジウムでは「抗リウマチ薬の作用機序と新しい展開」(司会=埼玉医大 安倍達氏,東京医歯大 宮坂信之氏)が企画され,病態解明による抗リウマチ薬の可能性が論議された。
 一方,会長講演では市川氏が「慢性関節リウマチ治療の現状と新しい展望」をテーマに,現在行なわれているRA治療薬NSAIDsやDMARDsの問題点や限界を指摘し,今後注目される生物学的製剤や,現在進められている遺伝子治療について述べた。