医学界新聞

第7回日本小児看護研究学会が開かれる


 第7回日本小児看護研究学会が,さる7月12日に,瀬谷美子会長(横浜市大看護短大教授)のもと,横浜市の横浜市立大学看護短大部で開催された。学会では会長講演をはじめ,岡部純子氏(神奈川県立こども医療センター総看護婦長)による特別講演や一般演題67題の発表が行なわれた。

障害児とのかかわりを通して

 瀬谷会長は「少子化の中で考える小児看護学教育」を講演。「看護の実践は,臨床(臨地)の中でしか得られない」と前置き,「そのための研究活動であった」と自身の経験を振り返った。また,「小児の基本は成長発達」と強調,「胎児や新生児も“もの”を言っている。障害を持つ子どもたちも同様で,学生は成長発達する中からその個別性を見抜く技術を習得する必要がある。それは,高齢者にも通じる技術」と指摘した。その上で,「学生のパターン化されてない“柔らか頭”と卒後の伸びに期待したい。教育者は学生に骨となるものを教え,常に考える姿勢を授けたい」と述べた。
 一方,特別講演「院内教育のありかた―小児専門看護師誕生への期待」で岡部氏は,1970年に設立された神奈川県立こども医療センター(以下,こども医療)の変遷と位置づけを解説。出生率が低下している中でこども医療への入院数は創設当時と変わらないこと,精神療育病棟,小児精神科を有することを特徴としてあげた。
 また,こども医療では1992年には周産期病棟を開設。NICUが充実されたことを述べるとともに,母子保健を含めた小児医療では大学病院以上のレベルでの高度先進医療を進めていることを紹介。骨髄移植,生体肝移植,小児CAPD,臍帯血バンクなどの実状が報告される一方で,告知を含めた倫理的な問題の解決のためにコーディネータの必要性を訴えた。さらに,「小児領域で扱う年齢が問題となっている。これからは,胎生期から老年期までを視野に入れた“思春期病棟”などの開設が望まれる」と今後の検討課題を呈した。
 最後に,「有効な治療を行なう上で,特に小児領域では他職種との連携と協働が重要となるが,そのコーディネートをする人材が必要」と小児専門看護師誕生への期待を述べるとともに,看護の質を高めるためには看護職自らの研鑽が必要とまとめた。

少子化の中での小児看護教育の問題

 少子化が進む中で小児の患者は激減し,病院によっては患者数よりも多くの学生が実習に来ている,との指摘もある。一般演題では,この問題に触れた発表も見られた。
 松下聖子氏(静岡市立看護専門学校)は,「入院患児の減少のため,実習の実施が難しくなった」との問題から,いかに効果的な実習を行なうかを検討。慢性疾患患児や障害児の看護を含めたローテーション実習を工夫し指導したことを報告した。
 一方,佐藤奈々子氏(日赤看護大修士課程)は,全国の看護系大学を対象にしたアンケート結果から,今後さらに増えるであろう看護系大学の実習の問題を憂慮した。