医学界新聞

多職種間にまたがる問題をシンポ形式で論議

第47回日本病院学会が開催される


 さる6月12-13日の両日,第47回日本病院学会が,高橋勝三会長(武蔵野赤十字病院名誉院長)のもと,東京都武蔵野市の武蔵野市民文化会館を主会場に開催された(2249号で一部既報)。

多様な視点から病院を見つめる企画が

 「病院が変わる―明るい病院の未来像」をテーマとした本学会では,「人生を支援する医療への道」(作家 柳田邦男氏),「薬害エイズと介護保険」(前厚生大臣 菅直人氏)など5題の特別講演をはじめ,シンポジウム(1)国際的にみた日本の医療評価―病院医療の質,(2)病院淘汰の時代―あなたが選ぶあなたの病院,(3)病院は変わる,(4)中小病院の経営戦略パート IIの4題が行なわれた他,一般演題334題が発表された。
 なお,今学会での新しい試みとして,一般演題の中から選ばれた多職種間にまたがる問題8テーマ((1)看護業務の効率的改善,(2)入院・外来の環境の整備,(3)中央検査部門における業務の改善,(4)院内感染防止の工夫,(5)職員教育・研修のあり方,(6)高度医療,(7)誤投薬防止への工夫,(8)院内情報システムへの取組み)については,看護職を中心に多職種が一堂に会するシンポジウム形式での発表,討議が,複数のセッションに分かれ行なわれた。また,栄養・管理・リハビリテーション部門の一部の一般演題発表もシンポジウム形式で行なわれた。

看護の視点からのIC

 シンポジウム形式で行なわれた一般演題の中で(2)については,インフォームドコンセント(IC)とアメニティの2つのセッションでの論議が行なわれた。
 ICに関しては,岡井清士氏(都立大久保病院長)の司会により,5人の看護職が登壇。その中で,ICは病棟単位の問題ではなく,病院全体としてとらえること,また患者・家族が納得のできるICを行なうためには,医師,看護職,コメディカル各職種間のコミュニケーションの必要があることが改めて浮き彫りにされた。
 5人の演者の中で,北里大病院の乙坂明子氏は「患者の視点に立ったICの一方法」を発表。乙坂氏は1996年秋に「癒しの環境研究会」が実施したアメリカ視察研修に参加したが,その節に訪問した整形外科専門のシュライナー子ども病院での,CLT(チルドレンズ・ライフ・セラピスト)と患児との間のIC成立についての学びを報告。「アメリカには,医師でも看護婦でもないCLTという職種が存在し,私服で遊びを通じてICの成立を図っている」と述べ,CLTが創外固定をつけたぬいぐるみ人形や義足の取り外しが可能な人形を使い,医師役の患児と対話をする内容を紹介した。患児に疑似医師体験をさせることにより,病状をより理解できること,子どもの視点に合わせてICができることなどの利点をあげ,さらにこの手法が高齢患者や精神的疾患を持つ患者にも応用できる可能性を示唆し,注目を集めた。