医学界新聞

第25回日本医学会総会第1回記者発表会開催

メインテーマは“社会とともにあゆむ医学-開かれた医療の世紀へ”


1999年4月に91分科会が連合,今世紀の掉尾を飾る総会に

 第25回日本医学会総会(The 25th General Assembly of the Japan Medical Congress)は高久史麿会頭(自治医科大学学長)のもとで,きたる1999年4月2-4日(医学展示・博覧会は3月30日-4月8日)に,東京の東京国際フォーラム他において開催されるが,その第1回記者発表会がさる6月17日,東京の日本医師会館において行なわれた。
 周知のように,日本医学会総会は「日本医学会が日本医師会と協力して,医学および医学関連領域の進歩発展を図り,学術面,実践面から医学における重要課題を総合的に討議すること」を目的として,明治35年に東京で第1回が開かれた。以来,4年ごとに開催されているが,特に今回は第25回という記念すべき総会になるとともに,医学会総会としては今世紀の掉尾を飾ることになる。
 また日本医学会には,今年新たに「日本医学教育学会」と「日本医療情報学会」が参加し,現在91分科会を擁している。医学会総会はこれらを連合し,各分科会の最新の成果を統合して紹介する場を提供することになる。今日のように医学・医療が高度に専門化,細分化しつつある時代には,従来にもまして重要な催事となろう。
 今回の医学会総会は,その趣意書に「医学とそれをとりまくライフサイエンス(生命科学)の進歩はめざましいものがあり,多くの生命レベル・遺伝子レベルでの解析が進み,そこから得られた膨大な知識と遺伝子工学的技術を始めとする新しいテクノロジーの治療への応用は医学・医療に大きな変化をもたらしている」と前置きし,さらに,「臓器移植・人工臓器の進歩,体外受精の成功,癌に対する治療の進歩,最新の理工学技術を用いた新しい画像医学は,医療の場において新しい展開を見せている」と医学・医療界の現状を概括している。
 さらに,社会医学の面では,高齢者社会の問題や限りある医療資源の効率的な運用,つまり医の倫理や医療経済が今後の医療のあり方に関して大きな課題となっていることを改めて指摘し,「このような転機を迎えた医学・医療に対して第25回日本医学会総会は,近づいた21世紀に展開する医学・医療に向けての方向づけをする使命を持つものと考える」と付言している。

医療は医師だけでなく,広く人々の連帯の上に成り立つ

 また同趣意書は,今回の医学会総会においては,医学の進歩を反映させるための学会であるという従来の基本理念を維持しつつ,医療は医師だけではなく広く人々の連帯の上に成り立っていることを再確認し,「私たちの健康維持には,市民の広い層の理解と協力が不可欠であるということを踏まえ,本総会で医学・医療の最新の知識と技術を正しい形で広くわが国の社会へ浸透させることが主命と考えた」として,今回のメインテーマである“社会とともにあゆむ医学-開かれた医療の世紀へ”の由来を説明している。

参加登録者だけでなく,国民とともに考える場を

 猿田享男広報委員長(慶大医学部長)の司会のもとで進められた記者発表会では,まず森亘日本医学会会長が1世紀におよぶ医学会総会の歴史を振り返るとともに,「日本医学会は常に日本医師会と密接な事業を行なっているが,“医学会総会”はその中でも最大のものである」と今回の総会に寄せる期待を述べた。
 次いで,坪井栄孝日本医師会会長が森会長と同様に「日本医師会と日本医学会は車の両輪である」ことを指摘し,「“社会に適応される医療”であるために,国民との双方向性を持った医療をめざすことが日本医師会の基本姿勢である」と強調した。
 また高久史麿会頭は,今総会の趣意書の意図を改めて説明し,「医学,医療は国民のためにあることを銘記すべきであり,今回は21世紀を迎えてわが国の医学・医療はいかにあるべきかという問題を,総会の登録参加者だけでなく国民とともに考える場としたい」と結んだ。

各委員長からの報告

 続いて各委員長からの報告に移り,まず矢崎義雄準備委員長(東大)が今回の総会のシンボルマーク(図)の意図を「混沌とした状況(右円・灰色)から,将来の輝き(左円・赤色)へ向けて,過去・現在・未来へと進歩する医学・医療を踏みしめて歩む続ける人間を表わしたもの。基調とした“赤”は将来への希望を含味し,直線は使わずすべて曲線で描いて,優しさと力強さと人間愛を示した」と説明し,「第25回という節目を迎える総会の準備委員長としての責任の重さを痛感している」と述懐した。
 また廣川信隆学術委員長(東大)は,(1)ライフサイエンス,(2)臨床医学,(3)社会医学の3つを柱とした「特別講演」,および「公開講座」「テーマシリーズ」「レクチャーシリーズ」「シンポジウム」などの学術プログラムの構成を概説。「今回の総会は“21世紀”がキーワード。医学・医療の全般にわたるテーマを網羅したので,基礎・臨床という領域を問わないことはもちろんのこと,コ・メディカルスタッフの参加も期待したい」と述べた。
 最後に開原成允展示委員長(東大名誉教授)が,「今回の総会が,従来の“医学展示”という呼称に“博覧会”と敢えて加えて明記した理由は,今回のメインテーマと基本理念を反映したことにある」と説明。東京国際展示場(ビッグサイト)で行なわれる展示も,登録会員のみでなく一般市民をも対象とし,(1)人と病気との戦い,(2)近未来の病院・診療所,(3)安全都市・在宅ケア,(4)世界に広がる医療,(5)市民の広場,の5テーマからなり,「子どもから大人まで楽しめる内容にしたい」と抱負を語った。
 なお,事前登録は1998年4月1日から受け付ける。また,第25回日本医学会総会事務局および展示事務局は下記の通り。
〒113 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学医学部附属病院内 第25回日本医学会総会事務局
 TEL(03)5800-5524/FAX(03)5689-8098
第25回日本医学会総会展示事務局
 TEL(03)5800-5526/FAX(03)5689-8098

 E-mail:tnagase-tky@umin.u-tokyo.ac.jp
 インターネットホームページ http://square.umin.u-tokyo.ac.jp/isoukai/

●第25回日本医学会総会組織委員会
高久史麿会頭
(自治医科大学学長)
伊藤正男副会頭(日本学術会議会長)
吉岡守正副会頭(元東京女子医科大学学長)
森岡恭彦副会頭(日本医師会副会長)
矢崎義雄準備委員長(東京大学教授)
佐藤達夫総務委員長(東京医科歯科大学医学部長)
廣川信隆学術委員長(東京大学教授)
開原成允展示委員長(東京大学名誉教授・国立大蔵病院長)
猿田享男広報委員長(慶應義塾大学医学部長)
酒井 紀登録委員長(東京慈恵会医科大学名誉教授・東急病院長)
松下正明記録委員長(東京大学教授)
安達恵美子式典委員長(千葉大学教授)