医学界新聞

1996年病院看護職需給状況調査(速報)まとまる
         (社)日本看護協会 1997年2月17日


 日本看護協会(見藤隆子会長)は,全国的な規模で病院における看護職員等の需給動向を把握し,同協会として看護マンパワー問題への対応を検討するとともに,需給対策についての提言を行なう上での基礎資料とすることを目的に,病院看護職需給状況調査を実施した。なお,この調査は95年を初年度として実施したが,今回はその第2回目にあたる。同協会では今後毎年実施するとしている。


●調査の概要

 調査実施日は1996年10月1日。調査対象は日本看護協会会員が勤務する全国の6304病院。病院の看護部長あてに調査票を郵送し,回答を依頼。回答数は3614病院(有効回収率58%)であった。

●調査結果の概要

 主な調査内容は,(1)96年度の看護要員の採用状況,(2)97年度の看護婦・准看護婦採用方針,(3)今後の病棟看護要員配置方針,(4)確保・定着状況の最近の変化,(5)病棟看護要員の配置状況について。
 その結果,(4)については,「定着がよくなった」50.4%,「応募者が増えた」20.5%,「新卒看護婦の採用が容易になった」18.7%,「既卒看護婦の採用が容易になった」10.7%,「欠員が減り新規採用数が減った」17.2%という傾向がみられた。
 中でも,医療法人や個人などの民間病院では,従来採用困難や定着がよくないという傾向があったが,今回の調査では53.0%が,「看護職員の定着がよくなった」と回答,改善傾向が示された。
 また(2)では,看護婦については「96年以上の数を採用」が40.7%,准看護婦については「採用予定なし」が15.7%,「欠員状況により決定する」が44.1%という結果であった。
 なお,准看護婦の97年春の採用予定については,公的病院の7割が「採用予定なし」と回答している。

●調査の背景-全国的な看護マンパワー状況

 看護職員(特に看護婦・士)の養成数が着実に増加し,病院に就職する新卒看護婦は,91年春の2万9972人から,96年春には3万6412人(3年課程2万1378人,2年課程1万5034人)に急増した(厚生省看護課編「看護関係統計資料集」による)。また,看護職員の職場への定着促進に,近年の看護職員確保定着対策が徐々に功を奏しているとみられ,結果として厚生省が示した看護職需給見通しを上回って就業者数が増えている。看護職員の需給状況には,依然地域的な格差や病院の設置主体による差はみられるものの,全体として明らかに改善基調にある。

問合せ先:日本看護協会調査研究課
 TEL(03)3400-8382
ホームページhttp://www.nurse.or.jp/
*なお,調査報告書は日本看護協会出版会から刊行予定の「日本看護協会調査研究報告」No.51に掲載される。