医学界新聞

訪問看護の自立をめざして

第2回訪問看護交流会が開かれる


 日本訪問看護振興財団および日本看護協会の主催する,第2回訪問看護交流会(実行委員長=東医歯大教授 島内節氏)が,さる1月16-17日の両日,東京・新宿区の日本青年館において開催された。
 同振興財団は1994年12月に設立され,交流会はその事業の一貫として開催されているもので,今回のメインテーマは「365日・24時間ケアをいかにして実現するか」。
 2日間にわたる交流会には,医師・看護婦の他,ヘルパーなどの介護職をはじめ施設利用者も参加。記念講演,特別講演の他,シンポジウム(1)日本における在宅ケア24時間の取り組み(司会=島内節氏),(2)広がる在宅医療と法的整備(司会=東医歯大教授 川村佐和子氏,千葉大教授 草刈淳子氏),(3)専門職業人として独立する訪問看護(司会=行天良雄氏)および課題研究・体験発表などが行なわれた。

24時間在宅ケア実施に向けて

 シンポジウム(1)では,1994年からモデル事業として実施,調査を進めてきた24時間ケアの実現へ向け,具体的方策を探ることを目的に4人が登壇。宮崎和加子氏(健和会訪問看護ステーション統括所長)は巡回型24時間在宅ケアを実践してきた経験から,また堀井とよみ氏(滋賀県水口町保健センター所長)は行政としてどう考えるかを,松永喜久恵氏(コムスン在宅事業部)は,民間企業の介護の立場から,さらに田中秀一氏(読売新聞社)は一般市民,ジャーナリストの視点からと,それぞれの立場を踏まえた意見を述べた。
 宮崎氏は,24時間ケアの効果について,(1)在宅が可能に,(2)ADLがアップ,(3)本人の生活のQOLが上がった,(4)家族の負担が軽減,(5)巡回により早期発見・早期対応が可能になったなど,10項目の利点をあげるとともに,「看護と介護が一緒になって24時間ケアを進める発想が必要」と述べ,看護と介護の棲み分け,連携の問題を指摘。また田中氏は,「24時間在宅ケアがビジネスとして成り立つか」を問題視し,この2点がその後のフロアを交えた総合討論で話題となった。
 看護と介護の問題については,「医師・看護婦・ヘルパーが,それぞれの領域で専門性を発揮しあった連携が重要。どれが欠けても在宅ケアは成り立たない」など,医師と看護婦,看護と他職種との連携の必要性や,マンパワーの問題が強調された。
 これらを受けて司会の島内氏は,「採算面を考えると,自治体とともに福祉に対する医療を進めなければならないだろう。看護職が専門性を発揮し,介護や他職種と手を組み,住民との話し合いの中から,24時間在宅ケアを行政に訴えていく必要がある」とまとめた。制度の法制化に合わせた何らかの転換が今後求められよう。

医療における看護職の法的責任を討議

 シンポジウム(2)では,在宅ケアのサービス提供に伴う法的整備に必要な問題点を討議。この中で岩崎榮氏(日本医大教授)は,「保助看法の見直しが盛んに言われているが,性急に法の整備を図ることは,逆に自分たちを縛ることになる危惧がある。規制緩和の時代の中で,保助看法の整備は不要。法を遵守さえすればよいのではなく,法は最低のことしか要求していないとの認識を持つべき」と発言。法的整備をめぐっては賛否両論が出され,医療行為と看護判断とともに,会場の論議の焦点となったが,設定された討議時間が不足し,十分な論議をつくせなかったことが惜しまれる。