医学界新聞

日本国際保健医療学生フォーラム ― 第1回全国会

日本国際保健医療学生フォーラム第1回全国会に参加して

K.N.(H医科大学5年)

 昨年11月30日―12月1日の両日,神戸大学医学部において,「日本国際保健医療学生フォーラム:第1回全国会」が開かれた。参加者は全国の医学生を中心に25団体,200名を越す人々が集まった。私は実行委員ではなく,一参加者として参加させていただいた。

21世紀への踏み台に

 近年は国際ブームで,環境問題,開発等がよくマスコミに取り上げられている。医療の領域も同様で,将来途上国で働きたいと考える医学生が急増している。現在の先端医療の教育を受けながら,実際にそのような医療を受けられるのは,世界でも限られた人間だけである,ということをサークル活動や海外旅行を通して知った学生は,その矛盾に自分が何とか役立つことはできないかと思うようになってきているのであろう(少なくとも私はそうだ)。そういう気持ちは大切である。しかし,気持ちだけでは仕事はできず,また,1人だけでも仕事はできない。同じような気持ち抱き,違った経験をしてきた人間が集い,情報交換をし,仲間となり,お互いの意識を高めあい,能力を磨いていく,そのような場をつくることは,21世紀へ向けての大きなステップとなるであろう。このような主旨で,このフォーラムは形成されたと認識している。

 当日のプログラムは,
1日目
 *小川寿美子先生,山本保博先生による記念講演
 *各大学のサークル,NGO団体による活動発表
 *交流会
2日目>
 *講師を交えてのパネルディスカッションで構成された。

学生として何ができるか

 今回の全国会のテーマの1つは「学生として何ができるか,何をすべきか」というということであった。
 1日目の分科会では学生間で今回のテーマについて話し合ったのだが,私の所属したグループでは枝葉末節の意見が多く,なかなか本質を見出せずにいた。しかし,実際に活動されている諸先輩方を講師に交えた2日目のパネルディスカッションでは,ある先生から「学生時代には,それほど気負わず,ラーメンを食いにカンボジアに行くくらいの気持ちでよい」といった暖かいアドバイスをいただき気持ちが楽になった。
 また「国際保健研究会」という学生中心の団体からは「国際協力の盛り上がりの中,私たちは学生として,その支援活動の状況を学習し,評価していくことこそが課せられた使命だと考えています。そして,このような客観性を持つ研究組織が,多様化が進む国際協力の世界に必要であると,自負しております。今後も調査を通して分析と考察を深め,自らの将来の糧とし,また,社会に国際協力のビジョンを提案し続けていきたいと考えております」という,前向きな意見が述べられた。
 学生として何ができるか,というテーマは何もこのフォーラムに限らない。多くの団体が取り扱っている問題であると思うが,1つの答えが出るものではなく,常に問題として意識の中に置いておくことに将来への発展性があるように感じられた。

フォーラムに望むこと

 このフォーラムに参加した人の目的はさまざまである。訳もわからず先輩に連れてこられて新しい出会いを楽しむ1年生。自分たちの活動を社会に提示する場の1つとして捉えるactiveな学生たち。サークルを立ち上げたものの,どのようにフィールド活動をしたらよいのか悩む部長たち,就職活動をかね,何か情報はないかと聞きまくる上級生。また,熱意のある学生たちのために,いろいろと意見を述べるために来ていただいた諸先輩,先生方。
 このフォーラムは今後もこのような参加者各人の目的が達成されるための場であり,参加者が疎外感を感じない開かれた場であり続けることを願う。
 そして,ここに参加した人がヒューマンネットワークを広げ,国際保健活動がより多くの人を巻き込んで発展していくことを望みたい。