医学界新聞

「高松宮妃癌研究基金国際シンポ」開催


「がん予防の基礎」をテーマに31演題

 (財)高松宮妃癌研究基金による第27回国際シンポジウムが,さる11月12-14日,東京のパレスホテルにおいて開催された。
 1970年に始まった同国際シンポジウムは,杉村隆氏(国立がんセンター名誉総長)によれば,これまでアメリカからの327名を筆頭に,日本から274名,イギリスから37名,ドイツから28名,スウェーデンから20名,フランスから14名,そして他の諸国から73名に及ぶ演者を招聘。毎回タイムリーなテーマを設定して企画されてきた。今年度は「がん予防の基礎」。
 近年の癌の治療技術は向上しているが,患者数は年々上昇しつづけている。また,最初の癌が完治しても,再発でも転移でもない,2番目,3番目の癌の発生が認められるケースも多くなり,異なった臓器に同時に発生する場合もある。一方,癌発生の原因となる遺伝子変異を引き起こす因子は,環境化学物質,ウイルス,放射線など多岐にわたり,食習慣などのライフスタイルが発癌リスクに大きく影響していることが指摘されている。さらに,これらの外的要因に加えて,生体の内的要因,遺伝的背景も癌発生に多大な影響を及ぼしており,癌の発生を遅延化させる癌予防法の確立が極めて重要になっている。こうした状況を背景に,今年度のテーマ「がん予防の基礎」をめぐって21人の外国人演者と10人の日本人演者が研究発表を行なうとともに,最新の知見と今後の研究の方向性に関して議論を交わした。