医学界新聞

訪問看護ステーションへの営利機関参入
国立病院の二交替制導入について
日本看護協会が厚生省に陳情



 日本看護協会(会長=見藤隆子)は,さる11月7日に,厚生省に対し,「指定老人訪問看護事業者への営利機関参入等に関する要望書」(老人保健局 羽毛田信吾局長宛)および「国立病院・療養所における看護婦等の二交替制勤務の実施に関する要望書」(保健医療局 小林秀資局長宛)の要望書を提出,陳情を行なった。

●指定老人訪問看護事業者への営利機関参入等に関する要望書

 高齢社会を迎え,高齢者の介護は深刻な国民的課題となっており,介護を社会的に保障する制度の早期実現が望まれております。つきましては,次の事項について特段のご配慮をお願いいたします。
1.公的介護保険の創設は国民の介護問題への要請に応えるものであることから,次期国会での介護保険法案上程と制度の早期実現を図られたい。
2.介護保険制度の構築には老人訪問看護ステーションの基盤整備が重要であるが,指定老人訪問看護事業者に営利機関を参入させることについては,慎重に検討されたい。仮に営利機関の参入に道を開く場合には,少なくとも次の2点にご配慮いただきたい。
 1)介護保険導入までは,現行の設置主体で整備を進めること
 2)訪問看護サービスの質を担保するためのガイドライン・監査システムを設けること
3.現状の訪問看護従事者の質の確保と向上のために,教育の普及・充実を図られたい。

●国立病院・療養所における看護婦等の二交替制勤務の実施に関する要望書

 国立病院・療養所における看護婦等の二交替制勤務の実施について,各国立病院長,各国立療養所長,各国立高度専門医療センター総長あて,10月17日付けで通知が出され,二交替制勤務の積極的な取り組みを求めています。このことについて,実施にあたっては,看護の質の保証および看護職の労働条件の視点から,下記の点に留意されるよう要望いたします。
1.二交替制勤務を取り入れるにあたっては,施設長が判断するのではなく,看護部など現場で業務に従事する者と十分協議をされて,よりよい方向で行なわれたい。
2.16時間夜勤を実施する看護単位については,看護職2名体制では不十分であるため,最低限3名以上の勤務が組めるような人員配置をされたい。
3.夜勤の勤務時間は 「16時間(拘束17時間30分)の範囲内で設置 」となっているが,休憩・休息が保障されない長時間にわたる勤務は看護職に心身の疲労をもたらし,結果的に患者ケアの質の低下につながることが予測される。休憩・休息等の保障がされないなかでの12時間以上の勤務は,極力避けられたい。