医学界新聞

STM日本部会発足記念セミナー


 「STM日本部会」(部会長=佐藤政次オーム社社長)が発足し,それを記念したセミナー(実行委員長=金原優医学書院社長)がさる11月14-15日の両日,東京のパレス・ホテルにおいて開催された。
 STM(International Association of Scientific, Technical and Medical Publishers)とは,IPA(国際出版連合)における討議が一般書出版社の主導で進められがちな中で,国籍の枠を越えて全世界の自然科学系出版社が結束し,その発言力を確保することを目的として1969年に設立された組織。現在21か国,約150社の会員を擁し,オランダの本部を中心に自然科学系出版の専門性に関連する著作権・流通・マーケティングなどの問題を世界共通の基盤で話し合い,問題解決を図るために種々の活動を行なっている。
 日本からは1971年に医学書院が初めて加盟。現在,海外法人を含め17社1団体を数えるに至っているが,そのような中で,日本部会設置の気運が高まり,昨年9月にSTM日本部会設立総会が開催され,翌月にはSTM総会において正式に日本部会の設置が承認された経緯を持つ。
 初代部会長である佐藤氏の開会挨拶に始まったセミナーは,「STM日本部会の目的」,「STM出版物の将来」,「マルチメディア世代におけるGI Iと著作権」,「世界の著作権問題と日本」,「日本の書籍・雑誌・電子メディア製品市場概観」,「日本の英文STM出版物市場概観」,「韓国語のSTM出版物の市場概観」,「日本の出版業界の現状」,「日本における学術情報基盤」,「STM情報の価値革新」など多岐にわたるテーマが,STM議長・事務局長を始めとする内外の識者および専門家によって講演された。また,パネルディスカッション「日本とアジアにおけるSTM出版物市場の可能性」では,実際にアジア市場でマーケティングを担当している5名のパネラーが討議。STM日本部会によせる期待の大きさを伺わせた。さらに,「学術研究とSTM出版物の関わり」と題する講演で伊藤正男氏(日本学術会議会長)は,きたるべき「脳の世紀」を迎えるに当たって,科学者として脳科学とSTM出版物の関わりに対する将来の“夢”と“展望”を語り,続いて金原氏の閉会挨拶でセミナーの幕を降ろした。