医学界新聞

BSEとヒトの新型CJDとの関係


 ウシ海綿状脳症(BSE)がヒトに感染した可能性を示す初めての直接的な証拠が報告された。 
 ロンドン大学インペリアル・カレッジのJ. Collingeたちが新しく開発した手法を使って得た結果によると,最近ヒトで確認された「新型」のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は,BSEと同系統であり,ヒトで見られる他のいずれの型のCJDとも違っていた。
 海綿状脳症の異なる系統は,多数の動物種で見つかっている。しかしこれまでは,マウスを使った実験で何か月もかけて起こした症状によってしか,これらの系統を識別できなかった。英国政府の海綿状脳症諮問委員会は先ごろ,新型CJDがおそらくBSE病原体に汚染された牛肉を食べたために引き起こされたものであると示唆したが,時間のかかるマウスでの実験が完結するまでは,それ以上断定することはできなかった。
 今回の新しい検査法は,病原物質と思われるプリオンタンパク質の生化学的な特徴から,新型CJDの原因を探ったものである。それによると,新型CJDで死亡した患者から得られたプリオンの生化学的な特徴は,実験的にBSEに感染させたマウスやマカクザルから得られたプリオンの特徴と一致したが,後天性あるいは散発性のヒトCJD患者から得られたプリオンの特徴とは異なっていた。
 この発見は,新型CJDが英国の畜牛でのBSEの流行によってもたらされた,という結論をいっそう強めるものである。また,今回用いられた新しい手法は,海綿状脳症を迅速に診断する検査法の基礎となり,BSEの蔓延状況の調査を容易にしてくれるだろう。