医学界新聞

看護界の指導者

極東連合軍総司令部公衆衛生福祉部
看護課長
 グレイエス・E・オルト少佐

 今日の看護婦という職業の地位および技能を充分認識するためには,時々過去の著名な指導者または事業創立者等のことを想い起こしてみることも有益なことであります。これらの人々の試練の道を想い出し,また多くの困難に出会いつつこれを克服して信ずるところへと邁進されたことなどを想い出すことは私たちに勇気と感動を与えてくれます。
 フローレンス・ナイチンゲールの名を聞いて看護ということを連想しないところが世界中にありましょうか。イタリーのフローレンス市はナイチンゲールが1820年5月12日にその町で誕生したということを誇っています。女史の家庭は裕福で,女史は良家の貴婦人として成長したのでありますが,その有閑な生活には決してなじめなかったのであります。
(略)
 看護婦は,公共の肉体的,精神的,社会的要求を充たすべく自らその仕事を創造する力を持っているものでなければなりません。広範囲の基礎的知識の上に立って初めて看護婦はその目的達成をなし,さらにまた国家の水準を高めるために努力する人々の中に立ち混って偉大なる社会の建設に必要欠くべからざる原動力となるのであります。

(「看護学雑誌」創刊号より,原文のまま。ただし旧字,旧かなづかいは改めた)